共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

二元系金属酸化物を用いた抵抗変化現象における量子化コンダクタンスの発現

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K04234
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

今年度は、1. Pt/NiO/Pt素子におけるコンダクタンスの量子化およびコンダクタンス変動に関する実験的および理論的検証、2.Pt/TiO_2/Pt素子のTiO_2の結晶性や酸素組成が素子の抵抗スイッチング特性に与える影響に関する実験的考察、などを実施した。
Pt/NiO/Pt素子で確認されたコンダクタンスの連続的な変動は、電界のみならず単なる熱によって消失しうる特性を示すことがわかった。この特性はコンダクタンスの量子化でも見られることから、コンダクタンス変動の起源はNiO中の酸素空孔ではあるものの量子ポイントコンタクトを安定に形成しうるまでには至らない凝集形態であると考えられる。また、セミフォーミングによって形成される量子ポイントコンタクトを含む導電性フィラメントの熱による断裂の定量化に向け、従来のフォーミングで形成される導電性フィラメントのジュール熱による断裂(リセット)特性をシミュレーションを用いて検証した。
もう一方のPt/TiO_2/Pt素子に関しては、TiO_2の結晶性が素子の抵抗スイッチング特性に及ぼす影響を調べるべく、結晶性(形成方法)の異なる下部電極Ptを用いた。酸化物の結晶性が下部電極の結晶性に依存する点はNiOを用いた素子と同様であるが、結晶性よりも酸化物中の酸素組成の方がその依存性が大きいことが明らかとなった。酸化物の違いによるこうした特徴の違いは、酸化物の単位格子結晶構造や堆積時の堆積モードが異なる点が主な理由であり、酸化物中の酸素空孔の分布(結晶性)や密度(酸素組成)が抵抗スイッチング特性の制御の鍵であると考えられる。

ID情報
  • 課題番号 : 18K04234