共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

企業犯罪における刑事司法を通じた構造改革の可能性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
16K17009
体系的課題番号
JP16K17009
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本年度も前年度に引続き、合衆国・連合王国・仏共和国における訴追延期合意及び不訴追合意についての比較法的調査・検討を行った。比較法的調査においては、わが国と同様に法人処罰制度の整備についての議論が始まりつつあるドイツ連邦共和国の研究者と訴追延期合意及び不訴追合意について意見交換することにより、我が国において従来支配的なドイツ法的伝統との接続可能性を検討することもできた。また、法と経済学、認知心理学及び哲学的観点からの調査・検討も前年度から引続く形で行った。とりわけ本年度の成果として大きいのは、合理性、心理学的主体性、合成志向性、徳倫理学といったそれぞれの領域における概念を整合的・統合的に理解し、企業犯罪の分野に応用する方法について、それぞれの分野の研究者と交流しながら意見交換し、検討する機会を持つことができたことにより、統合的に問題を把握するための手がかりが得られたことである。すなわち制度を動態的ゲームのもとで均衡するルールとして理解し、主体の合理性や心理学的主体性が、環境や文化をも含めた制度変数との相互作用によって形成されるとの考え方に立つことで、企業内部の構成員の振舞いを従来より精緻に把握・分析し、より効果的な企業犯罪対応のあり方を提唱するためのフレームワークが得られる可能性があることを突き止めたことは、本研究の過去2年間の業績を統合する大きなものであったと考えている。このような理論面での業績に加え、本年度は実務家との共同研究においても、理論の具体的問題への応用の可否について深く検討する機会を得ることができた。
なお、本年度は、一昨年度から連載中の論文を3本公刊するとともに、新たに本研究の成果に基づいて、合衆国の訴追延期合意制度について紹介・分析する論文を1本公刊した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K17009
ID情報
  • 課題番号 : 16K17009
  • 体系的課題番号 : JP16K17009

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  4