化学放射線療法(CRT)を行ったStage I食道扁平上皮癌41例の治療成績について検討した。その結果、男女比は男が有意に多く、腫瘍占拠部位は中部と下部で約8割を占め、推定深達度は全例がsm癌であった。重篤な血液毒性や非血液毒性及び治療関連死亡は認めず、CRTによるCRは87.8%で、平均5年間の観察期間の5年生存率は66.9%であった。又、CR継続を22例に、CR後の再発を14例に認め、他病死は5例で、CR後の原病死は5例であった。晩期毒性は、胸水貯留及び心嚢水貯留と放射線性肺臓炎が見られ、CRの内の3例が晩期毒性と関連する死亡と考えられた更に、Japan Clinical Oncology Group(JCOG)食道癌グループで行った多施設共同研究である「Stage I食道癌に対する放射線と抗癌剤同時併用療法の第II相試験(JCOG9708)」では、登録72例中CR96%、2年生存率は93%と良好な成績であった。