2008年2月
ボリコナゾールを含めた抗真菌剤多剤併用療法が著効した骨髄移植後の重症アスペルギルス感染症の2症例
日本小児血液学会雑誌
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 22
- 号
- 1
- 開始ページ
- 28
- 終了ページ
- 33
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本小児血液学会
症例1:4歳7ヵ月女児。ALLで造血幹細胞移植(SCT)を施行後再々発し、少量抗癌剤投与中にβ-D-グルカン値(4228pg/ml)著明上昇を認め、アスペルギルス抗原が検出された。当初ミカファンギン(MCFG)、amphotericin-Bを投与したが効果は得られず、ボリコナゾール(VCZ)を追加投与したところ、アスペルギルス抗原およびβ-D-グルカン値は速やかに陰性化した。症例2:15歳男児。慢性肉芽腫症でSCTを施行後、移植片拒絶に対するドナーリンパ球輸注後に急性GVHDを発症し、tacrolimus(FK506)、methylprednisolone(mPSL)投与中にβ-D-グルカン値(206.3pg/ml)の上昇を認め、アスペルギルス抗原が検出された。胸部CTを施行後、アスペルギルス肺炎の診断でMCFG、VCZ投与を開始し、GVHD改善を確認後、FK506、mPSLを漸減した。MCFG、VCZ投与開始後約3ヵ月でVCZ単独投与とし、β-D-グルカン値は10pg/ml前後を推移し、アスペルギルス抗原は陰性化した。2症例ともに、抗真菌剤による副作用症状は認めなかった。
- ID情報
-
- ISSN : 0913-8706
- 医中誌Web ID : 2008163383