共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2021年3月

高圧メディカルガスを用いた新しい臓器保存法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
17H04274
体系的課題番号
JP17H04274
配分額
(総額)
16,510,000円
(直接経費)
12,700,000円
(間接経費)
3,810,000円

近年の移植医療の発展に伴い、様々な臓器保存法が次々に開発され、現在も更なる技術開発が進んでいる。最近、申請者らは高圧メディカルガス(酸素(O2)1.5atmと一酸化炭素(CO)2atm)を用いた新しい臓器保存法を開発し、ラットの心臓を24時間保存して、摘出直後と同等の機能を保つことに成功した。
そこで、小動物(ラット肺)および大動物(イヌ肺)を用いて、この保存法の有効性を検証した。ドナーのラットとイヌから肺を摘出し、保存液(E T―KYOTO)で灌流した後、CO(1.5 atm)と酸素(O2; 2 atm)で満たされた耐圧チャンバー内に保存した。その後、20から22時間保存したラット肺をレシピエントに異所性頸部移植し、イヌ肺をレシピエントに同種移植した。
その結果、高圧メディカルガスで保存した群は、コントロールに比べて肺胞出血が優位に少なかった。また、、炎症性メディエーター(IL-6、IL-1β)は、高圧メディカルガスで保存した群は、コントロールに比べて優位に低かった。さらに、高圧メディカルガスで保存した群は、血中酸素濃度を保ことができ、移植後の血中の乳酸値が低下する傾向があった。この方法において、肺の内部を空気で満たした場合、C OとO2で満たす群よりも肺の状態が良いことが明らかになった。
このため、高圧メディカルガス保存法は、小動物の肺だけでなく、大動物の肺にも応用可能であることが示唆された。また、肺を保存する際には、外部から高圧をかけるだけではなく、内部にもガスが入るようにする必要があることを明らかにした。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-17H04274/17H04274seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17H04274
ID情報
  • 課題番号 : 17H04274
  • 体系的課題番号 : JP17H04274