2013年
国内マグロ養殖業の拡大と大手資本の参入実態
農林業問題研究
- ,
- 巻
- 49
- 号
- 2
- 開始ページ
- 99
- 終了ページ
- 105
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.7310/arfe.49.329
- 出版者・発行元
- 富民協会
国内マグロ養殖経営に関しては既にいくつかの研究が存在する。中原は,国内のクロマグロ養殖産業の黎明期を対象に,主要業者の経営概況の把握を行った。また,企業参入については,鳥居等の研究が見られるが,前者は小規模業者を分析対象とし,後者は受け入れ地域におけるインパクトに焦点が当てられたものである。また,小野が企業の参入動向について整理しているが,資源管理が強化され始めた2008年度データに基づく分析であり,国内の生産実勢の全体像と再編動向を十分に把握するには至っていない。婁はマグロ養殖業の生産技術革新は,単なる生産技術に留まらず,産業組織や経営形態の変革を通じて,水産物流通・経営のあり方を大きく変える可能性を秘めていると指摘している。そこで本研究では,養殖クロマグロの国内生産が拡大する中,各参入企業がどのような基準で拠点選定を行っているかを明らかにする。さらに,養殖事業と密接に係わる漁場・種苗採捕・餌料確保等の各条件を念頭に,国内主産地(拠点候補地)を如何に捉えているかを考察する。その前段として,グローバルな資源管理動向及び,主に2000年代後半から現在に至るまでの国内クロマグロ養殖生産の拡大と大手資本を中心とした企業の養殖参入の実態についても触れる。これらの整理・検討は,国内マグロ養殖業の今後や再編を占う上で,有益な知見を提供するものと考える。なお,現状養殖マグロ生産について利用可能な公式データは,貿易統計及び一部の水産庁公表データに限られる。こうした制約のもとで,大手資本の生産概況と産地評価の実態把握を試みることも本研究の課題の1つである。具体的には,既にクロマグロ養殖業に参入している大手資本6社への聞き取り調査結果及び水産庁公表資料等に基づき分析を行った。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.7310/arfe.49.329
- ISSN : 0388-8525
- CiNii Articles ID : 10031200410
- CiNii Books ID : AN00202829