

藤原 幸一
Kouichi Fujiwara
更新日: 2020/11/26
基本情報
- 所属
- 名古屋大学 大学院工学研究科物質プロセス工学専攻 准教授
- 滋賀医科大学 客員准教授
- 東京医科歯科大学 非常勤講師
- 京都大学 研究員
- Quadliytics Inc. CAO
- 学位
-
博士(工学)(京都大学)
- J-GLOBAL ID
- 201401001278510594
- 外部リンク
今,巷にはビッグデータや人工知能(AI)という言葉が溢れています.第三次AIブームとも呼ばれていますが,現在のAIは,大量の正解データを機械に学習させることで,学習に用いていない未知のデータを識別するというフレームワークを採用しています.
これは大量の正解データが低コストで得られることを前提としています.たとえば,インターネットには猫の画像が沢山あり,多くの人がブログでの記事やSNSのハッシュタグでこの画像は「猫」であるとラベルを付けてくれています.このようなデータをインターネットから大量に収集して機械に学習させれば,機械が画像の中から猫を自動的に探してくれるようになります.これが「集合知」というもので,将来的にAIの性能は人間を超越し,様々な人の仕事を奪うと騒がれています.
これは本当でしょうか?
ビッグデータの研究はすでにレッドオーシャンです.AI業界は大量のデータと高速な計算機,優秀なエンジニアを沢山抱えているところが必然的に勝てるようになっています.AI業界はすでに装置産業であり,資本力が勝負です.これまで人にも設備にも潤沢な資金を投資してこなかった本邦は,ビッグデータ領域においてもはやGoogleやFacebookに追いつくことはできません.
スモールデータの世界は違います.スモールデータとは,たとえばある装置の異常操業データなどデータの発生が稀だったり,疾患についての臨床データなど倫理的な理由で収集するのが困難なデータのことを指します.さらにスモールデータでは,限られた専門家でないとデータの解釈が困難な場合が多く,ラベル付けも高コストであったりします.たとえば異常脳波を正確にラベリングするのは,判読医や専門技師でないと務まりません.したがって,スモールデータを対象とする研究においては,データをクリーニングしフォーマットを揃え解析可能なデータセットを構築すること自体にも,大きな価値があります.
スモールデータ解析においては,データの背後にある因果関係や物理,生理学についての知識,さまざまなケーススタディ,さらに専門家の持っているノウハウ・暗黙知などを積極的に取り込む必要があります.そしてそのような知識は少数の専門家が作っていることを考慮すると,AIの性能は人間を越えることができず,高々,少数の専門家の性能を近似するのが限界であることがわかります.
このようなスモールデータ解析は,理論研究の立場からすると,ad hocでアカデミックでないように感じられるかも知れません.しかし現実の複雑な問題の解決には,理論だけでは対処できず,どうしても試行錯誤を含みます.その試行錯誤の中でスモールデータ解析に関してのノウハウが蓄積され,さまざまな分野の知識とともに,そのノウハウは体系化されるでしょう.したがって,スモールデータの研究には,まだまだブルーオーシャンが拡がっているのです!
我々の研究室では,てんかんや睡眠障害,脳卒中などの主に中枢系の疾患を対象に,多くの病院,研究機関と連携して臨床データの収集を収集しています.診療科を跨いで日本各地に構築した病院,専門医とのネットワークこそが我々の最大の財産だといえます.それでも臨床で不足するデータは,自分たちで動物実験や被験者実験を行ってデータを収集し,その解析を通じて診断アルゴリズムと医療機器の開発を行っています.さらにこれらのデータ解析によって,さまざまな疾患の機序の解明など,基礎医学・生理学への貢献を目指しています.
これは大量の正解データが低コストで得られることを前提としています.たとえば,インターネットには猫の画像が沢山あり,多くの人がブログでの記事やSNSのハッシュタグでこの画像は「猫」であるとラベルを付けてくれています.このようなデータをインターネットから大量に収集して機械に学習させれば,機械が画像の中から猫を自動的に探してくれるようになります.これが「集合知」というもので,将来的にAIの性能は人間を超越し,様々な人の仕事を奪うと騒がれています.
これは本当でしょうか?
ビッグデータの研究はすでにレッドオーシャンです.AI業界は大量のデータと高速な計算機,優秀なエンジニアを沢山抱えているところが必然的に勝てるようになっています.AI業界はすでに装置産業であり,資本力が勝負です.これまで人にも設備にも潤沢な資金を投資してこなかった本邦は,ビッグデータ領域においてもはやGoogleやFacebookに追いつくことはできません.
スモールデータの世界は違います.スモールデータとは,たとえばある装置の異常操業データなどデータの発生が稀だったり,疾患についての臨床データなど倫理的な理由で収集するのが困難なデータのことを指します.さらにスモールデータでは,限られた専門家でないとデータの解釈が困難な場合が多く,ラベル付けも高コストであったりします.たとえば異常脳波を正確にラベリングするのは,判読医や専門技師でないと務まりません.したがって,スモールデータを対象とする研究においては,データをクリーニングしフォーマットを揃え解析可能なデータセットを構築すること自体にも,大きな価値があります.
スモールデータ解析においては,データの背後にある因果関係や物理,生理学についての知識,さまざまなケーススタディ,さらに専門家の持っているノウハウ・暗黙知などを積極的に取り込む必要があります.そしてそのような知識は少数の専門家が作っていることを考慮すると,AIの性能は人間を越えることができず,高々,少数の専門家の性能を近似するのが限界であることがわかります.
このようなスモールデータ解析は,理論研究の立場からすると,ad hocでアカデミックでないように感じられるかも知れません.しかし現実の複雑な問題の解決には,理論だけでは対処できず,どうしても試行錯誤を含みます.その試行錯誤の中でスモールデータ解析に関してのノウハウが蓄積され,さまざまな分野の知識とともに,そのノウハウは体系化されるでしょう.したがって,スモールデータの研究には,まだまだブルーオーシャンが拡がっているのです!
我々の研究室では,てんかんや睡眠障害,脳卒中などの主に中枢系の疾患を対象に,多くの病院,研究機関と連携して臨床データの収集を収集しています.診療科を跨いで日本各地に構築した病院,専門医とのネットワークこそが我々の最大の財産だといえます.それでも臨床で不足するデータは,自分たちで動物実験や被験者実験を行ってデータを収集し,その解析を通じて診断アルゴリズムと医療機器の開発を行っています.さらにこれらのデータ解析によって,さまざまな疾患の機序の解明など,基礎医学・生理学への貢献を目指しています.
研究分野
4経歴
7-
2018年11月 - 現在
-
2018年10月 - 現在
-
2012年7月 - 2018年11月
-
2010年4月 - 2012年6月
-
2009年4月 - 2010年3月
学歴
3-
2007年4月 - 2009年3月
-
2004年4月 - 2006年3月
-
2000年4月 - 2004年3月
委員歴
6-
2019年8月 - 現在
-
2017年1月 - 現在
-
2013年10月 - 現在
-
2012年10月 - 現在
受賞
14-
2018年11月
-
2018年11月
-
2018年11月
-
2017年11月
論文
71-
IEEE Transactions on Affective Computing 1 - 1 2020年11月 査読有り
-
Frontiers in Neurology 11 567984 2020年11月 査読有り
-
IEEE Transactions on Medical Robotics and Bionics 2(4) 681 - 691 2020年11月 査読有り
-
Sensors 20(14) 3987 - 3987 2020年7月17日 査読有り
-
Frontiers in Public Health 8 178 2020年5月19日 査読有り 招待有り
MISC
80-
Conference proceedings : ... Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society. IEEE Engineering in Medicine and Biology Society. Annual Conference 2019 3964 - 3967 2019年7月 査読有り
-
日本睡眠学会定期学術集会プログラム・抄録集 44回 279 - 279 2019年6月
-
日本睡眠学会定期学術集会プログラム・抄録集 44回 284 - 284 2019年6月
-
人工知能学会全国大会論文集 2019 1H4J1303 - 1H4J1303 2019年
-
APSIPA ASC 2018 2018年11月 査読有り
書籍等出版物
4-
日経BP 2020年11月
-
メディカルレビュー社 2017年11月
-
情報機構 2017年4月
-
情報機構 2016年5月
講演・口頭発表等
35-
名古屋大学高等研究院ウェビナー 2020年6月2日 招待有り
-
化学工学会第51回Continuing Educationシリーズ講習 2020年1月21日 招待有り
-
名古屋大学医学部市民公開講座 2019年12月1日 招待有り
-
第39回医療情報学連合大会企画カンファレンス 2019年11月22日 招待有り
-
天白高校・出前授業 2019年11月7日 招待有り
担当経験のある科目(授業)
5共同研究・競争的資金等の研究課題
32-
JSPS 科研費基盤B
-
JST さきがけ
-
中谷医工計測技術振興財団 新型コロナウィルス感染症対策 助成プログラム
-
名古屋大学 牧誠記念研究助成
-
JSPS 科研費基盤C
産業財産権
12メディア報道
31-
NHK NHK World 2020年5月30日 テレビ・ラジオ番組
-
NHK おはよう日本 2020年4月9日 テレビ・ラジオ番組
-
NHK京都局 ニュース 630 京いちにち 2020年3月23日 テレビ・ラジオ番組
-
日本経済新聞 日経新聞夕刊 ライフサポート面 2019年7月31日 新聞・雑誌
-
朝日新聞 朝日新聞夕刊 朝日新聞夕刊 2019年7月19日 新聞・雑誌
社会貢献活動
3