基本情報

所属
名古屋大学 大学院工学研究科物質プロセス工学専攻 准教授
滋賀医科大学 客員准教授
東京医科歯科大学 非常勤講師
京都大学 研究員
Quadliytics Inc. CAO
学位
博士(工学)(京都大学)

J-GLOBAL ID
201401001278510594

外部リンク

今,巷にはビッグデータや人工知能(AI)という言葉が溢れています.第三次AIブームとも呼ばれていますが,現在のAIは,大量の正解データを機械に学習させることで,学習に用いていない未知のデータを識別するというフレームワークを採用しています.

これは大量の正解データが低コストで得られることを前提としています.たとえば,インターネットには猫の画像が沢山あり,多くの人がブログでの記事やSNSのハッシュタグでこの画像は「猫」であるとラベルを付けてくれています.このようなデータをインターネットから大量に収集して機械に学習させれば,機械が画像の中から猫を自動的に探してくれるようになります.これが「集合知」というもので,将来的にAIの性能は人間を超越し,様々な人の仕事を奪うと騒がれています.

これは本当でしょうか?

ビッグデータの研究はすでにレッドオーシャンです.AI業界は大量のデータと高速な計算機,優秀なエンジニアを沢山抱えているところが必然的に勝てるようになっています.AI業界はすでに装置産業であり,資本力が勝負です.これまで人にも設備にも潤沢な資金を投資してこなかった本邦は,ビッグデータ領域においてもはやGoogleやFacebookに追いつくことはできません.

スモールデータの世界は違います.スモールデータとは,たとえばある装置の異常操業データなどデータの発生が稀だったり,疾患についての臨床データなど倫理的な理由で収集するのが困難なデータのことを指します.さらにスモールデータでは,限られた専門家でないとデータの解釈が困難な場合が多く,ラベル付けも高コストであったりします.たとえば異常脳波を正確にラベリングするのは,判読医や専門技師でないと務まりません.したがって,スモールデータを対象とする研究においては,データをクリーニングしフォーマットを揃え解析可能なデータセットを構築すること自体にも,大きな価値があります.

スモールデータ解析においては,データの背後にある因果関係や物理,生理学についての知識,さまざまなケーススタディ,さらに専門家の持っているノウハウ・暗黙知などを積極的に取り込む必要があります.そしてそのような知識は少数の専門家が作っていることを考慮すると,AIの性能は人間を越えることができず,高々,少数の専門家の性能を近似するのが限界であることがわかります.

このようなスモールデータ解析は,理論研究の立場からすると,ad hocでアカデミックでないように感じられるかも知れません.しかし現実の複雑な問題の解決には,理論だけでは対処できず,どうしても試行錯誤を含みます.その試行錯誤の中でスモールデータ解析に関してのノウハウが蓄積され,さまざまな分野の知識とともに,そのノウハウは体系化されるでしょう.したがって,スモールデータの研究には,まだまだブルーオーシャンが拡がっているのです!

我々の研究室では,てんかんや睡眠障害,脳卒中などの主に中枢系の疾患を対象に,多くの病院,研究機関と連携して臨床データの収集を収集しています.診療科を跨いで日本各地に構築した病院,専門医とのネットワークこそが我々の最大の財産だといえます.それでも臨床で不足するデータは,自分たちで動物実験や被験者実験を行ってデータを収集し,その解析を通じて診断アルゴリズムと医療機器の開発を行っています.さらにこれらのデータ解析によって,さまざまな疾患の機序の解明など,基礎医学・生理学への貢献を目指しています.

論文

  71

MISC

  80

書籍等出版物

  4

講演・口頭発表等

  35

担当経験のある科目(授業)

  5

共同研究・競争的資金等の研究課題

  32

社会貢献活動

  3

メディア報道

  31