MISC

2012年8月

小児・成人移行期の鼠径ヘルニアの特徴と術式の選択

島根県立中央病院医学雑誌
  • 長田 絢子
  • 中西 保貴
  • 福垣 篤
  • 森野 甲子郎
  • 宮本 匠
  • 久保田 豊成
  • 青木 恵子
  • 増井 俊彦
  • 杉本 真一
  • 高村 通生
  • 武田 啓志
  • 橋本 幸直
  • 徳家 敦夫
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36
開始ページ
11
終了ページ
15
記述言語
日本語
掲載種別

小児の鼠径ヘルニアは主にヘルニア嚢の高位結紮のみを中心とした術式が選択される一方、成人ではそれに加えて鼠径管後壁の補強も追加されることが多く、術後再発を防ぐ上で重要な手術操作とされている.しかし、小児から成人への移行期間である10歳代-30歳代の鼠径ヘルニア根治術の術式選択については一般的に未だ確立された方針はなく、特にメッシュなどの異物留置について、未成年患者は適応となりうるのか、度々議論の対象となっている。当院において2004年2月から2011年9月までの7年8ヵ月の期間に行われた鼠径ヘルニア手術症例790例のうち、日本ヘルニア学会アンケートに用いられた小児・成人移行期15-35歳の症例47例について検討した.その結果、男性においては内鼠径輪の非開存例(内鼠径輪径1cm未満 日本ヘルニア学会 JHS分類I-1に該当)に比し、開存例(内鼠径輪1cm以上 JHS分類I-2または3に該当)が多く、一方女性では小児と同様、内鼠径輪非開存症例がより多いという結果となった.検索した限りの文献において19歳までは高位結紮のみを中心とした術式を選択されていることや、日本ヘルニア学会が提示する「内鼠径輪開存は従来法術後の再発のリスク因子」ととらえる考え方を背景として、19歳以下や女性の鼠径ヘルニア症例は、従来法の適応拡大の対象となるかもしれない.(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0289-5455

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