共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2023年3月

モモ民間育成の晩生希少品種を遺伝資源として活用した棚持ち性と果肉障害回避性の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H02200
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,030,000円
(直接経費)
13,100,000円
(間接経費)
3,930,000円

本年度は、研究グループが注目している棚持ち性の優れる品種、障害発生の異なる枝変わり系統に関して、以下のような成果が得られた。
1)収穫時期や栽培地域を問わず、‘桃水’では自己触媒的エチレン生合成能が欠損していること、外生エチレンに応答して果実が軟化することが明らかとなり、‘桃水’は硬肉モモに属することが示された。Tatsukiら(2018)による、エチレン生成能の欠損とIAAの生合成関連遺伝子へのトランスポゾンの挿入変異との関連についての報告を参考に、親である‘川中島白桃’および‘桃水’の挿入変異を解析したところ、‘川中島白桃’はヘテロで‘桃水’はホモにて変異を持つことが明らかとなった。さらに、関連する数品種の全ゲノム配列を予備的に調査したところ挿入変異をヘテロで持つ‘ゆうそら’が片親である可能性が示唆された。‘桃水’は外生エチレン処理時の肉質が優れており、韓国系の品種を用いず、日本にて育成された品種同士の交配による高品質かつ棚持ち性の良い品種育成が実証された。
2)‘大寿蜜桃’ は収穫時期、栽培地域によらず、自己触媒的エチレン生成能を持つにも関わらず、エチレンによって軟化せず、3週間以上の棚持ち性をした。一方、‘冬美白’ではエチレン生成とともに、果肉軟化が進行し、通常のモモと同様のエチレン応答性を示した。
3)‘紅博桃’およびその亜主枝単位の枝変わりについて調査したところ、枝変わりでは生長第2期(肥大停止期)から3期(最終肥大期)への転換が遅れており、熟期が3週間ほど遅れことや収穫後に蜜症障害が多発することが明らかとなった。
4)上記の1)-3)の品種や系統に関して、予備的な全ゲノムシークエンス解析を実施し、‘桃水’と‘川中島白桃’の親子関係や、‘紅博桃’樹内の熟期が異なる枝の枝変わり関係を確認するとともに、詳細な解析に向けた方向性を確認した。

ID情報
  • 課題番号 : 18H02200

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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