共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

機能性材料を対象とした室温超高感度NMR

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
21H01965
体系的番号
JP21H01965
配分額
(総額)
17,940,000円
(直接経費)
13,800,000円
(間接経費)
4,140,000円

本研究の最終目的は、機能性材料や生体分子の超高感度・高分解能NMRスペクトルを室温で取得できる手法・装置開発と応用である。今年度に実施した内容は、A. 生体分子の超偏極を可能とする手法の開発、およびにB.高分解能トリプレットDNP NMR装置の開発である。
具体的には、Aに関しては、2種類の分子がそれぞれの結晶相を持ちながら混合する共晶法に注目し、クエン酸回路の一部であるコハク酸、糖の一種であるエリスリトール、また薬の一種であるカフェインなどの室温超偏極に成功した。それぞれの試料のNMR信号に対して100倍を超える感度増幅を確認した。そして、超高速MAS NMRを用いて、偏極移動の機構解明を試みた。2次元交換NMRにより、偏極源を含む偏極相から、ターゲット分子を含む相への磁化移動が確認できた。50nm以下の小さなドメインを有していることが、固体NMRにより明らかになり、効率良く偏極がターゲット分子へ移動しているがわかった。
Bに関しては、室温超偏極試料を高分解能で測定できる装置(特殊試料管とNMRプローブ)を開発した。電磁石で試料を室温超偏極した後、超伝導磁石に高速移動し、超伝導磁石内で試料の高速回転が可能とした。実際に、試料を電磁石から1秒以内に超伝導磁石内に移動させることに成功した。両磁場間に存在する隙間(低磁場区域)を一瞬で移動することで、低磁場による縦緩和を減らすことに成功した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H01965
ID情報
  • 課題番号 : 21H01965
  • 体系的番号 : JP21H01965