2013年
奄美カトリック受容史の動態論 : 宗教言説の変容と民衆行動の力学
宗教と社会
- 巻
- 19
- 号
- 0
- 開始ページ
- 49
- 終了ページ
- 63
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.20594/religionandsociety.19.0_49
- 出版者・発行元
- 「宗教と社会」学会
近代奄美大島においてカトリックは受容より弾圧に至るドラスティックな変化を経験した。これを対象とした既往の研究は遡及的ナラティヴに依拠してきたために歴史像としての首尾一貫性と、民衆行動の顕著な変化の説明に課題を残している。本稿はこの問題について、奄美の中心的な宗教文化が成立宗教(仏教・神道など)ではなく民俗信仰であったために、近代を通じて人々が「無宗教」と表象されていたことに注目し、以下のように分析した。(1)「無宗教」の表象は奄美の後進性と結びつけられており、このため現地のエリート達は人々に「宗教」を持つことを要求した。こうした言説は民衆自身の危機意識と響き合って訴求し、宗教=カトリックを受容する動きが加速した。(2)昭和以降のエリート層は新たな主張として「無宗教」をカトリックで充填することを否定し、本来の「日本精神」に回帰するべきだとした。これが民衆の動機に合致した結果、人々はカトリックに否定的になり、弾圧の担い手となっていった。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.20594/religionandsociety.19.0_49
- ISSN : 1342-4726
- CiNii Articles ID : 110009615897
- CiNii Books ID : AA11333281
- identifiers.cinii_nr_id : 9000006915368