論文

筆頭著者
2016年3月

心理面接への陪席および単独面接において初学者が感じる困難と気づきおよび成長

立正大学臨床心理学研究
  • 上倉安代
  • ,
  • 入軽井悦子
  • ,
  • 佐藤真理奈
  • ,
  • 野村規雄
  • ,
  • 齊藤翔悟

14
開始ページ
17
終了ページ
40
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(大学,研究機関等紀要)

本研究の目的は,臨床心理学を学び始めた初学者を対象として,内部実習で感じる困難とその成長を検討することである。初学者4名(大学院生,大学院修了後1年未満,各2名)による陪席及び単独面接の回顧的報告を基に,面接場面で感じる困難,困難を通じた気づき,気づきを経て得た成長を抽出し質的に検討した。
その結果,初学者が感じた困難は自己・他者・環境に対するものに分けられ,自己への困難が最も多かった。よって,初学者はクライエントの内界を想像し共感する等の臨床的行為よりも,自身の内界の動きに対して困難を感じると考えられた。また,初学者には,自身の傾向への気づきを深め省察することで,否定的に捉えていた自身を客観的に捉えられ,行動を変容し柔軟性を獲得する,クライエントに焦点づけて考えられるという成長がみられた。その成長過程は,①気づく体験,②自身と向き合い受容する体験,③注目のあり方と視点の変容によるクライエントとの距離感の変化,④初学者のスタンスの定位と臨床的姿勢の芽生えという一連の変化を辿ると考えられた。

キーワード:初学者,心理面接,困難,気づき,成長

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