論文

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2020年12月

原著 動作療法のメカニズムに関する基礎的研究――「自己意識(「自己主体感」と「身体的所有感」)」に焦点を当てて

臨床動作学研究
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回数 : 1189
  • 上倉安代

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1
終了ページ
13
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

本研究では,動作療法のメカニズム仮説の検証,動作療法と「自己意識( 「身体的所有感」と「自己主体感」)」の関連の検討を目的として,大学院生22 名を対象に動作療法体験(集団式,50 分)を一回実施し,動作療法が及ぼす作用を量的・質的に検討した。その結果,動作療法により短時間で「伴う体験」が生じ,「体験内容」と「体験様式」の変化が生じることが支持された。動作療法実施後には,「自己意識」の有意な向上が認められた。KJ 法による分析では,【身体を通じた実感】と【身体を通じた気づき】により「身体的所有感」が向上し,【主体性の向上】,【自体操作を通じた自己コントロール感】,【できる感覚の促進】により「自己主体感」が向上し,これら二つの感覚は相互に作用することが示唆された。加えて,【意識状態の変容】,【意識の焦点づけの変化】が抽出されたことから,動作体験により「非意識的・半意識的体験」が生じることが示唆された。よって,動作療法は非意識~意識に渡り作用し,「自己意識」を変容しうることが示された。

キーワード: 動作療法,メカニズム,自己意識,自己主体感,身体的所有感

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