症例は45歳女性で、発熱、左頸部痛、左頸部腫脹を主訴に、近医にて投薬治療を受けるも改善せず、発症4日目に当科紹介となった。来院時、39.6度の発熱を認めるも全身状態は比較的安定しており、明らかな神経学的所見や髄膜刺激症状・異常反射は認めなかった。採血上、WBCとCRPの上昇を認め、血液培養ではPeptostreptococcusが検出された。頸部エコー・頸部造影CT所見より感染性血栓性内頸静脈炎と診断した。入院後、初期治療としてABPC/SBTによる抗菌薬治療を開始したが、発症7日目に膿瘍の増大と膿瘍内にガス産生を認めたため、頸部切開排膿を施行し、頸部にドレーンを留置した。排膿後は膿瘍の縮小を認め、血液培養で菌血症の陰性化、血液検査でWBCとCRPの正常化が確認され、発症39日目に退院となった。