2018年4月 - 2021年3月
紡錘体微小管と染色体を連結する分子構造基盤の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
細胞分裂に伴う染色体分配は、遺伝情報の継承と生物の恒常性を担う極めて重要な過程である。染色体の均等分配は、染色体上のセントロメア領域に形成されるキネトコアと呼ばれる多数のタンパク質からなる超分子構造体によって制御されている。細胞分裂期において、姉妹染色体は紡錘体微小管にとらえられて、分離され、娘細胞へと運ばれる。この際、染色体と紡錘体微小管を連結する役割を果たすのがセントロメア上に形成されるキネトコアである。本研究では、キネトコア分子構造体の可塑性と頑強性を支える仕組みを解明するため、生化学と構造生物学の手法を用いて、キネトコアにおける染色体と紡錘体微小管の連結の要となるCENP-T、CENP-Cタンパク質の機能解析を行なった。
キネトコアにはCENP-C/Mis12複合体もしくはCENP-Tタンパク質を介した 2つの染色体-紡錘体微小管連結経路が存在する。前者のCENP-C 経路を重視した機能解析が世界的には先行しているが、生体内においてこれら2つの経路が独立に機能しているのか、細胞内環境に応じて使い分ける制御機構があるのかなど、未だ不明である。今回、蛍光偏光解消法を用いた定量的な分子間相互作用解析を行った。細胞生物学的な解析結果と合わせて、細胞分裂期特異的なCdk1のリン酸化によって、CENP-TおよびCENP-CのNdc80複合体への結合が排他的に制御されていることを明らかにし、リン酸化を介したCENP-C経路とCENP-T経路の制御機構に関する新しい機能モデルを提唱した。さらに、正常な染色体分配に必須なCENP-Cの二量体形成領域の結晶構造を決定し、生化学的な実験結果と合わせて、この領域でさらに高次の自己会合状態を取りうることが明らかにした。この結果は、機能的なキネトコア形成におけるCENP-Cの未知の役割を示唆し、染色体分配の分子機構研究の新たな展開につながる。
キネトコアにはCENP-C/Mis12複合体もしくはCENP-Tタンパク質を介した 2つの染色体-紡錘体微小管連結経路が存在する。前者のCENP-C 経路を重視した機能解析が世界的には先行しているが、生体内においてこれら2つの経路が独立に機能しているのか、細胞内環境に応じて使い分ける制御機構があるのかなど、未だ不明である。今回、蛍光偏光解消法を用いた定量的な分子間相互作用解析を行った。細胞生物学的な解析結果と合わせて、細胞分裂期特異的なCdk1のリン酸化によって、CENP-TおよびCENP-CのNdc80複合体への結合が排他的に制御されていることを明らかにし、リン酸化を介したCENP-C経路とCENP-T経路の制御機構に関する新しい機能モデルを提唱した。さらに、正常な染色体分配に必須なCENP-Cの二量体形成領域の結晶構造を決定し、生化学的な実験結果と合わせて、この領域でさらに高次の自己会合状態を取りうることが明らかにした。この結果は、機能的なキネトコア形成におけるCENP-Cの未知の役割を示唆し、染色体分配の分子機構研究の新たな展開につながる。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K06084
- 体系的課題番号 : JP18K06084
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
The EMBO journal 40(5) e105671 2021年3月1日 査読有り筆頭著者