2021年4月 - 2025年3月
自然共生型過疎地景観の寝かせ方:マルチデータソースによる検証と評価システム開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)
2021年度は国立環境研究所がこれまで取得してきた全国規模の廃村調査のデータ及び福島県の避難指示区域周辺の生物分布データについて統計解析ソフトR上等で統合的に統計解析ができるように整備を進めた。2015-2020年に福島県で衝突板トラップ及びマレーズトラップで得られたチョウ類と、2015-2016年に全国の廃村における目視調査で得られたチョウ類(セセリチョウ科等の現地での同定が困難な種と外来種は除く)の共通種は21種であり、そのうち個体数や出現頻度等の観点からキアゲハやベニシジミが主な解析対象種として挙げられた。加えて、耕作放棄時の景観に関する土地利用情報として、国土数値情報の土地利用図等を収集した。国土数値情報による土地利用図は1976年に整備されたものが最も古いが、調査対象となる廃村には60年代に放棄されたものもあるため、オランダ環境評価庁(PBL)が整備したより広範な期間を網羅した土地利用モデルであるHYDE(History database of the Global Environment)3.2等の収集も進めた。
また、廃村におけるデータのみを用いて先行して行ったチョウ類と土地放棄の関係に関する階層ベイズモデルによる統計解析では、解析対象となった43種のチョウのうち、キアゲハ等の13種が土地放棄によって負の影響を受けていた一方で正の影響を受けていた種は3種にとどまったこと、寒冷地を好む草原性のチョウが放棄によって負の影響を受けやすい可能性があること、「放棄の有無」が「放棄の期間」よりも説明力があること等が示唆された。この成果(Sugimoto et al. 2022)はProceedings of the Royal Society B: Biological Sciences誌に掲載された。
また、廃村におけるデータのみを用いて先行して行ったチョウ類と土地放棄の関係に関する階層ベイズモデルによる統計解析では、解析対象となった43種のチョウのうち、キアゲハ等の13種が土地放棄によって負の影響を受けていた一方で正の影響を受けていた種は3種にとどまったこと、寒冷地を好む草原性のチョウが放棄によって負の影響を受けやすい可能性があること、「放棄の有無」が「放棄の期間」よりも説明力があること等が示唆された。この成果(Sugimoto et al. 2022)はProceedings of the Royal Society B: Biological Sciences誌に掲載された。
- ID情報
-
- 課題番号 : 21H03656
- 体系的番号 : JP21H03656
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
北日本病害虫研究会報 74 56-60 2023年12月 査読有り筆頭著者
-
Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 289(1971) 2022年3月30日 査読有り責任著者