共同研究・競争的資金等の研究課題

2013年4月 - 2015年3月

Trogocytosisによる細胞分化機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
25118703
体系的課題番号
JP25118703
配分額
(総額)
3,900,000円
(直接経費)
3,000,000円
(間接経費)
900,000円

細胞系列分化は、遺伝子転写および翻訳の制御により決定されることが古くから知られているが、我々はこれまでに免疫細胞間で細胞膜がダイナミックに細胞間移動(trogocytosis)することにより翻訳後修飾による新たな細胞集団が一時的に形成されることを見出した(Nakayama et al, PNAS, 2011; Nakamura et al, PNAS, 2013)。そこで本年度は、この細胞膜の細胞間移動の分子機構の解析を中心に進めた。NK細胞と腫瘍細胞との接触により腫瘍細胞に発現するMHCクラスI様分子を含む細胞膜がNK細胞側へ移動するが、この移動は、NKG2D依存的であり、さらにNKG2Dのエンドサイトーシス経路が大きく関与することが判明した。一方、樹状細胞(DC)とNK細胞が接触することによりDC細胞表面上のMHCクラスII分子がNK細胞へ移動するが、この移動過程において、DC-NK細胞間のシナプス形成に関わるICAM-1、LFA-1などの接着分子群やCD27、CD70、CD28、CD80などの補助刺激分子群などの関与について検討を行ったが、いずれの分子の関与も認められなかった。MHCIIと直接結合するLAG-3分子の関与も認められず現在その分子メカニズムを解析中である。さらに我々はDCがアポトーシス細胞から速やかにMHCクラスI分子を引き抜き、その死細胞由来MHCIが抗原提示機能を有することをOT-I細胞を用いた解析により明らかにした。細胞膜の細胞膜移動は、エンドサイトーシスや貪食の過程で起きる可能性が考えられるため、現在、その細胞膜移動におけるDCの貪食機構の関与について解析を進めている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-25118703
ID情報
  • 課題番号 : 25118703
  • 体系的課題番号 : JP25118703