2000年 - 2002年
新規アポトーシス誘導分子の同定と解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費 特別研究員奨励費
TWEAKはTNFファミリーに属するII型の膜蛋白であり、ある種の腫瘍細胞株に細胞死を誘導し、一方で、血管内皮細胞には細胞増殖を誘導する。我々は既にTWEAKが単球のエフェクター分子として機能することを報告し(Nakayama et al. J. EXP. Med. 2000)、さらにTWEAKの腫瘍細胞死誘導にはcaspase依存性アポトーシス、cathepsin B依存性ネクローシス、および内因性TNF-α産生依存性の間接的な細胞死といった複数の経路が存在することを前年に報告した(Nakayama et al. J. Immunol. 2002)。しかしながら、TWEAKの細胞死誘導性レセプターは不明である。最近、血管内皮細胞に増殖シグナルを伝達するTWEAKレセプターFn14が同定されたが、Fn14はdeath domainを持たず、細胞死シグナルを伝えるかは不明である。そこで我々は、新たに樹立した抗ヒトFn14モノクローナル抗体を用いた解析から、TWEAKの細胞死誘導機構におけるFn14の関与を検討した。その結果、本研究で用いたTWEAK感受性を示す全ての腫瘍細胞株においてFn14の発現が認められ、Fn14をクロスリンクすることによりTWEAK刺激時と同様に複数の経路を介した腫瘍細胞死が誘導された。また、TWEAKの結合を阻害する抗Fn14抗体はTWEAKによる全ての腫瘍細胞死をほぼ完全に抑制した。以上の結果は、Fn14は細胞死シグナルを伝える機能を持つこと、さらに上述したTWEAKの複数の細胞死経路は全てFn14を介することを示唆する(Nakayama et al. J. Immunol. 2003)。現在、今回樹立した抗Fn14モノクローナル抗体を用いてTWEAK/Fn14システムの病理的役割を解析している。
- ID情報
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- 課題番号 : 00J07282
- 体系的課題番号 : JP00J07282