2009年
九州沖縄地域における有害線虫の分類と地理的分布,および土壌DNAを用いた検出の試み
土と微生物
- 巻
- 63
- 号
- 2
- 開始ページ
- 78
- 終了ページ
- 83
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)
- DOI
- 10.18946/jssm.63.2_78
- 出版者・発行元
- 土壌微生物研究会
分子生物学的同定技術の進歩により,近年有害線虫に関する数多くの分類や地理的分布上の新知見が得られてきた。従来のアレナリアネコブセンチュウ(以下センチュウを略す)は本州型,沖縄型に分けられた。ジャワネコブは東北地方まで分布するとされてきたが,そのほとんどがアレナリアネコブ本州型であった。キクを加害する有害線虫はキタネグサレであることが定説であったが,九州沖縄地域ではクマモトネグサレが主であった。ニセフクロには有性生殖型と単為生殖型が知られていたが,前者は長崎県および沖縄県のみで優占し,特に長崎県における興味深い分布が明らかとなった。一方で,土壌検診の一助として,土壌からDNAを抽出し,これを鋳型にしてPCRを行い,有害線虫のみを検出する方法を試みた。土壌DNA抽出キットISOILの標準プロトコルに,試料の処理後凍結や超音波処理等を加えることによって,土壌DNAの収量は約16倍に増加した。抽出されたDNAを鋳型にしてネコブセンチュウのミトコンドリア遺伝子を増幅させるプライマーでPCRを行ったところ,他の土壌生物のDNAに影響されることなくネコブセンチュウのDNAのみが増幅された。検出感度は約100頭/20g土壌相当であった。
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