共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

中華民国時期における国際主義ーー周コウ生を中心とした考察

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K01362
体系的課題番号
JP21K01362
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,250,000円
(直接経費)
2,500,000円
(間接経費)
750,000円

中国における「国際法の父」と称される周コウ生は、国際連盟に関する著作『万国連盟』(1922年)を発表して以来、『現代国際法問題』(1931年)や『国際政治概論』(1930年)など、国際法や国際政治に関する単著を1940年代にかけて多数公刊し、中華民国時期の国際法・国際政治研究を主導した。また、1910年代半ばから1940年代にかけて、『太平洋』、『現代評論』、『北京大学社会科学季刊』など、複数の雑誌に継続的かつ精力的に評論を執筆している。それら膨大な著述を網羅する全集や著作集は、現在までのところ刊行されていない(『周コウ生文集』(1993年)が収録するのは、ごく一部に過ぎない)。しかし、言うまでもなく周コウ生研究にとってまず重要であるのは、周自身の著述である。そこで2021年度は、周コウ生の手になる著述を可能な限り収集することに力を注いだ。その上で、その史料群の一部の分析も開始している。
特に注目したのが、『万国連盟』や先行する時事評論に表現されている周コウ生の国際協調を支持する言論である。中国ではパリ講和会議を前に、国際協調を擁護する論調が高揚したこと、しかしパリ講和会議が中華民国の権利を十分に尊重しないという事実が明確になって以降、それに失望した知識人が国際協調を体現していたアメリカのウィルソン大統領に失望し、代わって新しく登場したソヴィエト・ロシアに期待を寄せたことが知られる。周の言論が興味深いのは、パリ講和会議の現実が明らかになって以降も、国際協調を擁護する姿勢が大きくは変化していないということである。
なぜ、周の姿勢は大きくは変化しなかったのか、こうした立場は当時にあってどのような位置を占めるのかといった点については、彼が1920年代半ばから展開する革命外交に関する議論と併せて引き続き考察を進めていきたい。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K01362
ID情報
  • 課題番号 : 21K01362
  • 体系的課題番号 : JP21K01362