共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

構造化感染症モデルの数学的性質の解析と疫学的考察への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業  若手研究

課題番号
19K14594
体系的課題番号
JP19K14594
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

空間構造や年齢構造を含む偏微分方程式系として表される様々な感染症の数理モデルの解析を行った.空間構造を含む系(反応拡散系)としては,ワクチン接種の影響を考慮したモデルと,一時的な免疫等による防護期間を考慮したモデルの2種類を解析した.前者では,領域の境界上に個体が存在しないことを意味するディリクレ境界条件の下で,基本再生産数が1より小さければ感染者がいない定常状態が大域的に漸近安定であり,1より大きければ感染症が風土病となるエンデミックな定常状態が存在することを示した.後者では,感染症の伝播を意味する進行波解の存在に関する閾値条件と,波の進行速度に関する評価を得た.年齢構造を含む系としては,免疫の減衰とブースター効果を考慮したモデルの解析を行った.特に,基本再生産数の値が1に近いときの定常状態の分岐を調べて,流行の制御がより難しいと考えられる後退分岐が起こらないためのいくつかの十分条件を得た.一方,実際の感染症への応用研究としては,COVID-19を対象とし,沖縄県における検査や社会距離拡大政策の効果に関するシミュレーションや,ワクチン接種ペースと東京オリンピック・パラリンピック期間に予想される流行曲線の推定,オミクロン株が主流である第6波後の国内の集団免疫割合の推計などを行った.その他,経済学での応用に向けた数理モデルの基本的な構造の総説や,細胞のロジスティック成長を考慮したB型肝炎のウイルスモデルの長期動態の数値シミュレーション等を行った.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19K14594
ID情報
  • 課題番号 : 19K14594
  • 体系的課題番号 : JP19K14594

この研究課題の成果一覧

論文

  28

MISC

  8

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  29

メディア報道

  3