共同研究・競争的資金等の研究課題

2009年 - 2011年

中東・イスラーム地域における教育改革―歴史的前提としてのオスマン帝国を中心に―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
09J06903
体系的課題番号
JP09J06903
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,800,000円
(直接経費)
2,800,000円

平成23年度は、論文を一編刊行し、口頭報告を三回行った。また、平成23年6月には、前年度に東京大学に提出した博士号請求論文に対して、博士(文学)の学位が授与された。
鈴木董編『オスマン帝国史の諸相』に掲載された論文は、オスマン帝国における「公教育」が、非ムスリムをも取り込む形で形成されたことを、ムスリムと非ムスリムの共学、非ムスリムの委員も参加した審議会、非ムスリムの学校をも視察した視学官という教育行政に関わる三つの問題から明らかにしたものである。宗教的・言語的・民族的に多様な構成要素からなるオスマン帝国の「公教育」を扱う本論文は、「帝国」における社会統合の問題を、教育の側面から明らかにしたという意義を有していよう。
口頭報告は、科学研究費基盤研究S「ユーラシアの近代と新しい世界史叙述」におけるものが二回、比較教育社会史研究会の「イスラーム部会」におけるものが一回である。前者は、支配や法に関する比較研究であり、支配については清朝や日本との比較を、法についてはエジプトやアルジェリアとの比較をそれぞれ行った。いずれも、比較の「土俵」を明確に設定した研究会であったため、論点が絞られ、有意義な議論を行うことができた。後者は、比較教育社会史研究会の叢書として平成26年春に刊行予定の『近代・イスラームの知と学校の比較社会史』の出版準備を兼ねた研究会で、そこでは、オスマン史研究者のみならず、日本史や西洋史、そして教育学の研究者との密度の濃い議論を行うことができた。
「近代オスマン帝国における教育改革-教育行政と学校教育-」と題する博士論文は、平成22年12月までの研究成果をまとめたものであり、教育の歴史を世界史的に考える際に極めて重要な位置を占めるオスマン教育史に関する、本邦における初めてのまとまった成果である。
以上、平成23年度も、これまでと同様、当初の計画に沿って研究を進めることができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-09J06903
ID情報
  • 課題番号 : 09J06903
  • 体系的課題番号 : JP09J06903