MISC

2015年10月

腹膜透析導入により心機能とQOLが改善した高齢者の1例

腎と透析
  • 多田 将士
  • ,
  • 伊藤 辰将
  • ,
  • 金山 恭子
  • ,
  • 杉山 和寛
  • ,
  • 小出 滋久
  • ,
  • 長谷川 みどり
  • ,
  • 湯澤 由紀夫

79
別冊 腹膜透析2015
開始ページ
261
終了ページ
262
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)東京医学社

高齢かつ低心機能患者に腹膜透析(PD)を導入し、生活の質(QOL)のみならず心機能が改善した87歳男性の症例を報告した。10年前より腎硬化症による慢性腎不全にて加療中、心エコーでの所見で高度の低心機能を認めていたが、腎機能が不良のため心カテーテル検査による心精査を施行できなかった。うっ血性心不全を発症し入退院を繰り返していた。腎機能は緩徐に増悪したため、PDカテーテルを挿入し、体液量コントロールを目的にPD導入とした。導入後1年の時点で、心機能、SF-36v2によるQOL評価ともに改善を認めた。下腿の浮腫が消失し、経口摂取が改善し体重は増加した。本症例のように重度の低心機能例では、残腎機能が十分に保たれているうちからPD導入が望ましいと考えられた。本症例ではPDによって心機能が改善したが、心機能改善には血液透析(HD)にはない緩徐な除水に加え、さまざまな物質の除去が関与している可能性があり、今後HDと比較した検討が必要であることを指摘した。

ID情報
  • ISSN : 0385-2156
  • 医中誌Web ID : 2016101586

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