2018年12月
重複腸管捻転によるイレウスの1例
日本小児外科学会雑誌
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- 巻
- 54
- 号
- 7
- 開始ページ
- 1347
- 終了ページ
- 1350
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (NPO)日本小児外科学会
症例は10ヵ月、男児。胆汁性嘔吐および経口摂取不良を主訴に来院し、熱源不明の発熱およびイレウスの診断で入院した。翌日の腹部CTにて絞扼による小腸イレウスを疑い、緊急手術を行った。トライツ靱帯から約80cmの部位に捻転した重複腸管を認め先端が炎症性に大網と癒着し、付着部を閉塞起点とした小腸イレウスを来していたため、重複腸管および付着部を含む約20cmの小腸切除を施行した。病理所見では捻転部は腸管粘膜上皮や平滑筋など腸管構造を有し、重複腸管壁は捻転による絞扼で壊死を来していた。膵組織や胃粘膜の迷入は認めなかった。術後にイレウスは順調に改善したが、腹腔内感染による筋膜離開と皮下膿瘍のためドレナージ術を施行し、退院後1ヵ月で腹壁再建術を行った。重複腸管はしばしば遭遇するが本症例は捻転形式が稀で、術前診断が困難であった。今回我々は、まれな重複腸管自体の捻転によりイレウスを発症した1例を経験したので報告する。(著者抄録)