論文

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2016年7月

吾妻新と沼正三によるズボン・スラックス論争——1950年代『奇譚クラブ』 における日本的サディズムの萌芽

年報カルチュラル・スタディーズ
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  • 河原 梓水

vol.4
開始ページ
185
終了ページ
205
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)

本稿は、1953年、変態雑誌『奇譚クラブ』誌上にて起こった、戦後の女性の穿き物の呼称をめぐる論争の読み解きを通じて、第一に、論争の当事者である吾妻新=村上信彦の服装論における、流行と風俗に関する思想を浮き彫りにし、第二に、彼のサディズム論と服装論を架橋するものである。そして、彼のサディズム論を日本的なSM文化の起点として位置付ける。
村上信彦は、日本女性史に多大な影響を与えた服装史・女性史家であるが、村上が『奇譚クラブ』に展開した女性の服装をめぐる一連の主張、とりわけ、女性解放の象徴としてのズボンに関するものを抽出し、実名の著作と対照させた。その結果、彼が女性解放の階梯として流行と風俗化を位置づけていたことを指摘し、さらに男女平等時代にふさわしい女性の性的魅力のあり方について検討していたことを明らかにした。

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