論文

査読有り
2015年12月

頸椎頸髄損傷の臨床的特徴 当院における45例の頸椎頸髄損傷患者の解析から

Neurosurgical Emergency
  • 新谷 祐貴
  • ,
  • 花 大洵
  • ,
  • 竹信 敦充
  • ,
  • 寺岡 暉

20
2
開始ページ
206
終了ページ
210
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(NPO)日本脳神経外科救急学会

序文:頸椎頸髄損傷は重症化しやすく的確な初期診断と積極的な治療介入が求められる。今回我々は頸椎頸髄損傷の臨床的特徴を後方視的に解析し、予後と潜在的な予測因子との関連を報告する。対象および方法:2012年1月〜2014年12月の対象期間中に当院に搬送された外傷患者755症例中、新規に頸椎頸髄損傷を認めた45症例について、年齢、性別、受傷原因、Frankel分類、ASIA impairment scale、骨傷の有無、脊柱管狭窄症の有無、後縦靱帯骨化症の有無、治療内容、入院期間、死亡率など、17項目を後方視的に解析した。結果:頸椎頸髄損傷45症例は男性64.4%、年齢中央値75歳で年齢分布は70歳代をピークとした一峰性であった。受傷原因は転落42.2%、転倒31.1%、交通事故24.4%で、転倒外傷の年齢中央値が最も高かった。骨傷を伴ったものは24.4%に留まり、潜在的に脊柱管狭窄症が存在していたものが88.9%と大部分を占めた。後縦靱帯骨化症を伴った症例も42.2%と多かった。治療内容は保存的治療群28例(62.2%)、外科的治療群17例(37.7%)で、平均入院日数は17.0日、死亡率は15.6%であった。Frankel分類、ASIA impairment scale、後縦靱帯骨化症の有無の3項目は死亡率と有意に相関していた。(P<0.01;Pearsonのχ2検定)結論:本研究は人口約51.4万人の医療圏の中核病院である当院の過去3年間の新規頸椎頸髄損傷患者について解析したものである。かつては20歳代と60〜70歳代の二峰性の人口分布であったが本解析では70歳代をピークとした一峰性であった。最大の要因として高齢者の脊柱管狭窄の存在があり、軽微な外傷でも頸髄損傷へ至る可能性が示された。高齢者は外傷の程度に関わらず、頸椎頸髄損傷を疑い精査すべきである。また、死亡率は15.6%と極めて高率で、Frankel分類、ASIA impairment scale、後縦靱帯骨化症の3項目と有意な相間を認めた。発症直後から重篤な機能障害を呈している症例及び後縦靱帯骨化症を有する群は予後不良であることが示され、これらの群ではより積極的な治療介入が求められる結果となった。(著者抄録)

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  • ISSN : 1342-6214
  • 医中誌Web ID : 2016124085

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