2020年4月 - 2023年3月
Biofilm形成に関わる免疫と細菌間クロストークの解明、新規治療法の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本課題において申請者らは、褥瘡や糖尿病性下腿潰瘍などの難治性皮膚潰瘍におけるBiofilm形成への免疫と細菌間クロストークの関与について解明し、Biofilm誘導因子をターゲットとした新規治療法の確立を目指している。特に、好中球がBiofilmを誘導している可能性に注目している。創傷治癒において、好中球は最も早く創部に到達し、初期の感染防御や炎症反応に重要な役割を担う。その一方でBiofilmを伴う皮膚潰瘍では、好中球による組織障害が報告されており、好中球の暴走が慢性的感染症のトリガーではないかと指摘されている。
本年度、SDラットを用いて皮膚潰瘍緑膿菌Biofilm形成モデルを確立し、以下の点が明らかになった。①皮膚潰瘍への緑膿菌接種により、24時間をピークに好中球が集積数が高まり、その後低下を認めた。②好中球集積には、緑膿菌クオラムセンシング分子が関与することが示唆された。③緑膿菌を接種した非虚血創と比較し、緑膿菌を接種した虚血創では、好中球集積数の低下を認めた。④緑膿菌を接種した非虚血創と比較し、緑膿菌を接種した虚血創では、Biofilm形成が減弱する傾向を認めた。⑤クオラムセンシング分子合成に関わる遺伝子を欠損した緑膿菌では、Biofilm形成が減弱する傾向を認めた。
以上のことから、虚血を伴う慢性創傷におけるBiofilm形成には、好中球と緑膿菌クオラムセンシング分子のクロストークが関与する可能性が示唆された。
本年度、SDラットを用いて皮膚潰瘍緑膿菌Biofilm形成モデルを確立し、以下の点が明らかになった。①皮膚潰瘍への緑膿菌接種により、24時間をピークに好中球が集積数が高まり、その後低下を認めた。②好中球集積には、緑膿菌クオラムセンシング分子が関与することが示唆された。③緑膿菌を接種した非虚血創と比較し、緑膿菌を接種した虚血創では、好中球集積数の低下を認めた。④緑膿菌を接種した非虚血創と比較し、緑膿菌を接種した虚血創では、Biofilm形成が減弱する傾向を認めた。⑤クオラムセンシング分子合成に関わる遺伝子を欠損した緑膿菌では、Biofilm形成が減弱する傾向を認めた。
以上のことから、虚血を伴う慢性創傷におけるBiofilm形成には、好中球と緑膿菌クオラムセンシング分子のクロストークが関与する可能性が示唆された。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K09842
- 体系的課題番号 : JP20K09842