共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

胃癌腹膜播種に対するパルスレーザーを用いた新規光線療法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K08782
体系的課題番号
JP21K08782
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

光感受性物質の存在下で光線を照射するphotodynamic diagnosis/therapy (PDD/PDT)は臨床において皮膚癌,膀胱癌,食道癌,脳腫瘍などに応用されている.5-Aminolevukinic acid (5-ALA)を用いたPDT/PDD(ALA-PDD/PDT)は,胃癌腹膜播種モデルマウスによる検証実験でその有用性が示されている.5-ALAはヘム産生の原料としてミトコンドリア内で合成されており,その代謝中間物が光照射により活性酸素(ROS)を生成する.発生したROSによりミトコンドリアが障害され,細胞はアポトーシスを起こす.5-ALAを過剰投与した場合,正常細胞ではPIXは酵素により速やかにヘムへ変換されるが,癌細胞内ではヘムに代謝されずに中間生成物が細胞内に蓄積されやすく,殺細胞効果が得られる.一方,課題としては他の光感受性物質(レザフィリンやフォトフリン)に比べて,癌特異性は高いが殺細胞効果が低いことである.殺細胞効果を上げることができれば,5-ALA-PDTは癌特異性の高い新規腹膜播種治療法となりうる.本研究の目的は,肉眼的にすべての病巣を診断することが難しく,腸閉塞や腹水により患者QOLを低下させる難治性の胃癌腹膜播種病変に対するより効果的で正常組織に影響の少ないパルスレーザー光線照射を用いた新規治療法を開発することである.本研究で明らかにすることは,①殺細胞効果の至適なレーザー光照射条件,②レーザー光線照射が癌細胞と癌微小環境に与える影響,③内視鏡や腹腔鏡に搭載可能な細径デバイスを用いてより広範囲の病変を治療できる可能性の模索,である.本年度は超小型パルスレーザー光源の製作および種々の胃癌細胞株に対する光感受性物質およびレーザー光線の曝露実験(ALA-PDD/PDT)を行った.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K08782
ID情報
  • 課題番号 : 21K08782
  • 体系的課題番号 : JP21K08782