2015年
口唇口蓋裂児の口唇形成が吸啜機能に及ぼす効果
小児歯科学雑誌
- 巻
- 53
- 号
- 1
- 開始ページ
- 69
- 終了ページ
- 80
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.11411/jspd.53.1_69
- 出版者・発行元
- 日本小児歯科学会
本研究は,口唇口蓋裂児における口唇形成術施行前後と術後3 か月時における吸啜機能の変化について,吸啜圧,吸啜サイクル時間および口腔周囲筋活動から検討したものである。被検児は,F 保健衛生大学病院に通院中の片側性完全唇顎口蓋裂児12 名である。計測は,口唇形成術前後,術後3 か月の計3 回行い,吸啜運動時の吸啜圧変化と口腔周囲筋活動を計測した。吸啜圧は計測用哺乳瓶を,口腔周囲筋活動は,左右側頭筋(L-R, TM)と咬筋(L-R, MM),唇裂の部位とは反対側(健側)の口輪筋(OM),舌骨上筋群(SM)の6 筋に双極表面銀電極を貼付し記録した。コントロールとして,3 か月の健常乳児に同様の観察を行った母乳群と人工乳群を用いた。その結果,糖液哺乳時の1 吸啜サイクル時間と陰圧相時間は,術後の方が術前に比べ有意に長くなった(p<0.05)。口腔周囲筋活動は両側TM, OM および総筋活動量は,術前に比べ術後の方が有意に増大していた(p<0.05)。吸啜圧は口唇形成術後3 か月が術前に比べ大きくなっていた(p<0.05)。口唇口蓋裂児の3 か月後とコントロール群との比較ではSM は3 か月群がコントロール2 群に比べ有意に小さい値を示した(p<0.05)。以上より,口唇形成術を施行した結果,吸啜サイクルの陰圧相時間は長くなり,口腔内の陰圧形成に有効であることが明らかとなった。しかし,口唇口蓋裂児のSM の活動は口唇形成術後も小さく,舌の動きが健常乳児とは異なっていることが示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11411/jspd.53.1_69
- ISSN : 0583-1199
- CiNii Articles ID : 130005129168