共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

肥満発症における視床下部のエピゲノム・エピトランスクリプトームの役割の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
21H03349
体系的課題番号
JP21H03349
配分額
(総額)
17,160,000円
(直接経費)
13,200,000円
(間接経費)
3,960,000円

視床下部は食欲や代謝を調節することによってエネルギーの摂取と消費のバランスを制御しているため、体重の調節に非常に重要である。本研究課題では、視床下部におけるDNAメチル化修飾などのエピゲノムや、RNAメチル化修飾などのエピトランスクリプトームの体重調節における役割に注目している。エピゲノムやエピトランスクリプトームの調節を担う脱メチル化酵素は複数存在しており、また、体重調節にかかわる視床下部ニューロン群も複数あるが、どの酵素によるどのニューロン群で働きが体重調節に関係しているかは不明である。
そこでfloxマウスとCreマウスを掛け合わせて、特定のニューロン群特異的なDNA脱メチル化酵素やRNA脱メチル化酵素の欠損マウスを複数種類作成し、体重を指標に調べた。体重増加や体重減少を呈する酵素・ニューロン群の組み合わせが存在していた。体重増加を呈する欠損マウスについては、普通食では10%程度の体重増加であったが、高脂肪食負荷条件下ではかなり大きな体重の増加を示し、食事誘導性肥満に関与している可能性がある。
また、欠損させることにより体重減少になった酵素については、同じニューロン群特異的に過剰発現マウスを作成して解析したところ、肥満になることが確認でき、体重調節における重要性がより鮮明になった。また、欠損マウスを用いた網羅的な発現解析などを行い、体重の低下を引き起こす分子機序の一部が明らかになりつつある。
エピゲノムやエピトランスクリプトームは、環境要因などの影響を受けやすい修飾であるため、本研究で明らかにした体重調節機構は食事などの環境要因に誘発される肥満の分子機構の一部になっている可能性がある。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H03349
ID情報
  • 課題番号 : 21H03349
  • 体系的課題番号 : JP21H03349