共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

卵巣癌におけるレチノイン酸シグナル伝達の機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)
  • 平川 隆史

課題番号
16K11130
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

当科で2007年~2012年に手術を施行し上皮性悪性卵巣腫瘍と診断した95例について、免疫組織化学染色法で腫瘍組織におけるPin1発現を評価し、患者年齢、組織型(漿液性癌 vs 非漿液性癌)、臨床進行期(I期 vs II~IV期)との相関を評価した。Pin1の強発現は組織型(漿液性癌)、臨床進行期(II~IV期)と相関していた。次にPin1発現強度と予後との関連をLog-rank検定で評価した。Pin1の発現強度は漿液性癌においては無増悪生存期間、全生存期間ともに関連を見出せなかったが、非漿液性癌においてはPin1の強発現が無増悪生存期間を増悪させた。非漿液性癌45例について、無増悪生存期間に影響を与える紳士として多変量解析を行ったところ、臨床進行期(I期 vs II~IV期、HR 8.07, 95% CI 1.54-42.23, P=0.014)、Pin強発現(HR 4.67, 95%CI 1.02-21.35, p=0.047)とPin1の強発現が独立した予後不良因子となりうることが示された。
上皮性卵巣癌培養細胞株6種(漿液性癌株4種 、粘液性癌株1種, 明細胞癌株1種)に対するPin-1阻害剤3種 (Juglone, PiB, EGCG)の投与による増殖抑制効果をMTTアッセイで評価した。SKOV3におけるEGCG添加によるic50は5.93μM、OVSAHOにおけるJuglone添加による ic50は7.26μMであり、他の組み合わせと比較して低濃度であった。 以上より臨床検体におけるPin1発現が卵巣癌の予後と関連し、細胞実験においてはPin1の機能抑制によって腫瘍増殖が抑制される可能性が示された。総じて Pin1は卵巣癌治療の標的分子の1つになりうることが示唆された。