2012年7月
公立中高一貫校の拡大規定要因分析――学校タイプによる傾向の違いに着目して
社会学年報
- 巻
- 41
- 号
- 開始ページ
- 115
- 終了ページ
- 125
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.11271/tss.41.115
- 出版者・発行元
- 東北社会学会
本稿の目的は,公立中高一貫校の拡大に焦点を当て,その導入時期と拡大スピードに影響を与える要因を分析することである.中高一貫校を,中学校入学段階で選抜を行う「受験型(併設型,中等教育学校)」と選抜を行わない「連携型」に分別し,それぞれに対して人口的,地域的要因をイベントヒストリー分析およびマルチレベルモデルによって検証した.分析の結果,受験型一貫校設置に対しては教職員組合の規模が,連携型に対しては受験型一貫校の数が,その設置時期を遅らせる要因として作用しているということが分かった.加えて,それぞれの量的拡大の要因を分析した結果,受験型の拡大には私立学校の割合,他県への生徒流出,財政力が有意な影響を与え,受験型の一貫校が持つ生徒獲得の側面が明らかになった.連携型は比較的財政力の少ない県に設置され,受験型を設置できない地域の代替的な役割を担っているが,全国的に平原化しているということが分かった.受験型と連携型は現在補完的な役割を担っているが,受験型の増加と連携型の平原化の傾向から,今後中高一貫校が量的に拡大しても,地域による教育機会の格差が存続し続ける可能性が示唆される.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11271/tss.41.115
- ISSN : 0287-3133
- CiNii Articles ID : 130003399206
- CiNii Books ID : AN00109754