症例は80歳男性で、左側舌縁部に腫瘤を呈して当科を紹介受診し、左側舌扁平上皮癌との診断で、術前化学放射線療法後に左側舌部分切除術、左側頸部郭清術、前腕皮弁再建術を施行した。術前にN1と診断したリンパ節には腫瘍細胞は認めず、通常のリンパ組織がみられた。以後、外来で経過観察を行っていたが、画像検査にて対側の右側頸部リンパ節に転移を疑う所見を指摘された。全身麻酔下に右側根治的頸部郭清術変法(内頸静脈、副神経温存)を施行した。術後の病理組織学的検査でリンパ節に明らかな腫瘍性病変は認めず、病理組織学的所見と免疫組織化学的所見よりRosai-Dorfman病(RDD)の診断となった。頸部リンパ節以外にRDDを疑う所見を認めず退院となった。現在、右側頸部郭清術後3年10ヵ月経過時点で再発所見なく経過良好であった。