49歳女性。左側頸部の疼痛を主訴に近医の耳鼻科を受診し、鎮痛薬や抗菌薬を処方されるも改善せず、近医の歯科医院を経て当科へ紹介となった。初診時、パノラマX線では異常所見はみられなかったが、頸部超音波検査では疼痛部位の血管壁は内・中膜が肥厚し、内腔の狭窄が認められた。また、造影CT画像では左総頸動脈に限局性拡張と内腔の狭小化が確認された。以上、これらの所見より、本症例は特発性左総頸動脈解離と診断され、診断後は当院の神経内科にて頸部運動制限、血圧管理による保存的加療を受けることとなった。その結果、初診から12ヵ月経過現在、頸部痛はほぼ消失し、臨床所見や画像所見にて再解離は認められていない。