論文

査読有り
2008年3月

CD8陽性細胞の免疫不全ウイルス複製抑制能の解析

東京大学大学院医学系研究科
  • 塚本徹雄

記述言語
日本語
掲載種別
学位論文(博士)

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)・サル免疫不全ウイルス(SIV)などの免疫不全ウイルス感染症においては、 宿主適応免疫反応が誘導されるにもかかわらずウイルス複製が持続し、最終的にはエイズ発症にいた る。適応免疫の代表的エフェクターである細胞傷害性 T リンパ球(CTL)を含む CD8 陽性細胞は免疫 不全ウイルス複製抑制に重要であることが知られているが、HIV 感染後誘導される CD8 陽性細胞の HIV 複製抑制効果は充分ではなく、慢性持続感染が成立する。予防エイズワクチン開発では、この慢 性持続感染成立阻止が試みられているが、安全性・有効性ともに十分なものは確立されていない。安 全性の面で問題のある弱毒化生ワクチンは、唯一持続感染成立阻止効果を有するが、その機序につ いては不明である。そこで本研究では、どのような免疫誘導が免疫不全ウイルス複製の制御に結びつく かを知る目的で、SIV 感染サル慢性エイズモデルにおいて CD8 陽性細胞反応を中心とした解析を行 った。まず、CD8 陽性細胞集団の SIV 複製抑制能を培養細胞レベルで評価する系を確立し、生ワクチ ンで高い SIV 複製抑制能を有する CD8 陽性細胞が誘導されることを示す結果を得た。さらに、SIV 複 製抑制能を有していることが示唆されていた2つの SIV Gag エピトープ特異的 CTL を各々単独で誘導 できるワクチンシステムを確立し、ワクチンによる各々のエピトープ特異的 CTL の誘導が SIV 複製制御 に結びつくことを明らかにした。これらの結果は、HIV 慢性持続感染成立阻止に結びつく免疫機序解明 に貢献するものとして重要である。

リンク情報
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/500000459812
URL
http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/cgi-bin/gazo.cgi?no=123670
ID情報
  • CiNii Articles ID : 500000459812

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