2019年10月
腹膜偽粘液腫と鑑別を要した子宮類粘液平滑筋肉腫の一例
日本婦人科腫瘍学会雑誌
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- 巻
- 37
- 号
- 4
- 開始ページ
- 731
- 終了ページ
- 740
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (公社)日本婦人科腫瘍学会
腹腔内が多量の粘液で占拠され、腹膜偽粘液腫(PMP)と臨床所見が酷似した類粘液平滑筋肉腫(mLMS)を経験したので、鑑別点に着目して報告する。症例は64歳の既婚女性で、腹部膨満感と頻尿を主訴に受診した近医で、骨盤内腫瘍を指摘され、当施設へ紹介となった。臍下1横指を頂点とする弾性硬な腫瘤を触知し、骨盤部造影MRIでは、子宮体部前壁と連続する20cm大の粘液成分を含む多房性嚢胞性腫瘤がみられた。変性子宮筋腫と考えられたが、症状の増悪とともに、粘液成分を主体とする腫瘤が腸管を取り囲むように増大したため、PMPと悪性卵巣腫瘍を鑑別診断として開腹術を施行した。開腹時、腹腔内は脆弱な粘液基質で充満していたことからPMPを疑い、腫瘍減量術、子宮全摘出術、両側付属器切除術、大網切除術、回盲部・虫垂切除術を施行した。病理組織学的検討で、子宮筋層から連続する粘液基質と紡錘形細胞の増殖がみられ、子宮肉腫IIIB期(mLMS)の診断に至った。類似する臨床所見であっても、治療方針や予後が大きく異なることから、両疾患の鑑別は重要である。後方視的には、両疾患の鑑別には画像所見が有用であり、診断確定に寄与すると考えられた。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 1347-8559
- 医中誌Web ID : 2020045417