2016年6月
【代謝変化とエピジェネティクス制御】tRNAのチオメチル化修飾による翻訳制御と代謝疾患
生化学
- ,
- 巻
- 88
- 号
- 3
- 開始ページ
- 328
- 終了ページ
- 334
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (公社)日本生化学会
タンパク質翻訳は生命科学のセントラルドグマを構成する中心的な要素であり,あらゆる生命活動を支える普遍的な生命現象である.mRNAに転写された遺伝情報は,リボソーム上で転移RNA(tRNA)によって解読され,機能的なタンパク質へ翻訳される.最近,分析技術のめざましい進展により,tRNAに多彩な転写後修飾が存在することが明らかになってきた.これらの修飾は翻訳効率および精度を調節し,さらに修飾破綻がさまざまな代謝疾患の発症に関わることから,tRNA修飾がタンパク質翻訳における新たな制御機構として再び注目を浴びている.本稿では,進化的に保存されているtRNAのチオメチル化修飾に焦点を絞り,tRNAチオメチル化修飾の生化学的な特性,分子機能および修飾の破綻による代謝疾患の発症機序について総説する.(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0037-1017
- 医中誌Web ID : 2016320286