研究ブログ

研究ブログ

松田俊郎 研究概要

2013年から熊本大学で、カーボンニュートラルや地域課題の解決に貢献する電動(EV)バスの研究開発を進めています。 

電動バス普及の為には、EVの本来機能であるCO2削減、排気ゼロに加えて、従来のバスを凌ぐ高い実用性、低価格化、再生可能エネルギー活用や地域のレジリエンスへの貢献など、新しい付加価値が必要と考え、熊本大学独自のアイデアを、社会実装構想、研究開発内容、電動バス機能に織り込み、その効用を検証する実証試験を行ってきました。

熊本大学では、電動路線バスと電動スクールバスの社会実装を主要テーマとして取り組んできましたが、これらの普及の為、交通、電力、地域をまたがる視点で課題と方策を検討して構想をまとめ、当該領域で将来の社会実装を担う自治体、バス事業者、電力会社、車両メーカー、部品メーカーを共同開発者に迎えて技術開発を推進し、プロジェクトの技術開発代表者として目標と方策を提示し、進捗と結果をまとめました。

電動路線バス研究開発では、低価格化を狙って、量産EVのバッテリーやモーターを活用した大型車用の電動システムと、従来バスを改造して電動バスを製造する技術を開発し、新たな付加価値として、変速機を不要にする大容量減速機と、モーター回生を活用したアクセルペダルによる車両の加減速制御を実用化して、運転の大幅な簡素化とCO2削減を実現しました。環境省の委託事業で実施した実証試験では、狙い通りの高い実用性が評価されると共に、EVバス1台で年間CO2削減量効果ディーゼルバス比▲39%の見通しを得ました。

さらに、わが国初の試みとして、実証試験で得られた知見を使って電動路線バス大量運行のシミュレーションを行い、必要なEV性能、電力、充電制御の方法を論文で示しました。

電動スクールバス研究開発では、低炭素化、地域分散電源化(太陽光発電主力化)、強靭化、過疎化と学などの地域課題の解決を狙って、わが国初の電動スクールバスの実証試験を行い、地域分散電源に適した充放電制御や非常電源等の機能を織り込んで、地域のグリーンな通学手段として有用であることを実証しました。

これらの研究開発の成果と知見が、わが国の電動バス社会実装に役立てれば幸いです。

0