2019年4月 - 2024年3月
2連比例計数管同時測定に基づいた高放射線場使用の簡易高感度90Sr検出器の開発
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(A) 基盤研究(A)
本研究では、高放射線場の野外において試料の化学処理なしに簡易に90Srの比放射能が測定できるβ線の計測に基づいた方法を開発し、福島県の帰還困難地域の早期復帰に向けての90Srに対する安全性の調査に応用することを目的とし、5段階(平成31 年度~35年度)で研究目的を達成する。初年度(平成31年4月、令和元年5月~令和2年3月)を第一段階として、2連の比例計数管のβ線検出システムの製作を行った。本研究計画では、帰還困難地域での汚染検査を2グループで手分けして実施するため、可搬型90Sr汚染検査システムを2式作成する。可搬型90Sr汚染検査システム1式は2台の2連の比例計数管のβ線検出システムからなるため、合計4台の2連の比例計数管のβ線検出システムを製作する必要がある。先ず、現有のクリプトンガス入りの比例計数管2個を用いて、本研究のアイデアに基づいて90Srからのベータ線を他の放射線と区別して検出できるかを調べた。その結果、90Srからの連続のエネルギーを持ったベータ線が、比例計数管のエネルギースペクトル上では1つのつまり単色のエネルギースペクトルとなることが確かめられた。更に、2連の比例計数管を通し、ベータ線を同時計測することによって、他の放射線と区別することが示され、ベータ線検出に対して本研究のアイデアが成り立つことが示された。この成果は、応用物理学会の放射線分科会会誌「放射線(Ionizing Radiation)」に投稿し、受理された。比例計数管に使用するガスの種類を検討し、高放射線場対応としては、アルゴンガスが適していることを確認し、2連のアルゴンガス入りの比例計数管のβ線検出システムを4台製作し、90Sr線源を用いて測定した結果、同システムによるベータ線の検出が正常に作動することが確認された。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H00879
- 体系的課題番号 : JP19H00879