共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年6月 - 2021年3月

レーザー冷却分子干渉計を用いた反物質消失機構解明の新しい研究手法の開拓

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
18K18762
体系的課題番号
JP18K18762
配分額
(総額)
6,370,000円
(直接経費)
4,900,000円
(間接経費)
1,470,000円

本研究は、極性分子中での有効電場が格段に高いことに着目し、冷却分子によるEDM探索技術を確立することである。特に、これまでの分子EDMでは、ビーム実験が主であったが、外場との相互作用時間が限られているためにEDM探索精度に限界があった。そこで本計画では、極性分子と真空中にトラップし、長い相互作用時間を実現することで、EDM測定精度の向上を目指す。特に、電子EDM増幅度が高い重元素を構成要素にもつRI分子:Fr-Srを測定対象としている。この実現には、FrとSrの個々の原子をレーザー冷却・トラップし、フェッシュバッハ共鳴により冷却原子同士を融合させ、冷却分子生成・トラップを行う必要がある。その心臓部は、大強度のレーザー冷却Fr源である。昨年度までの東北大・CYRICでの研究で、核融合反応によるFr生成・冷却・トラップの実験手法は確立したが、Fr生成用表面電離イオン源からの不純物の放出、イオン源標的を加熱する機構と高圧に上げる機構が共存するために生じる放電現象により、安定したFr供給が困難であった。この点を解決するため、そして、さらに大強度の一次ビームを供給できる理研・AVFサイクロトロンにおいて、新しくビームラインを構築し、新規に表面電離イオン源の開発を完了した。このイオン源は、これまでの課題を解決するために、赤外線ヒーターでのターゲット加熱を導入し、さらに、サーモグラフィーでの温度モニターを行いながら、ターゲット温度を融点以下に制御しながらFrを生成することで、大強度かつ安定なFr生成に成功した。これにより、極性分子のうち、重元素・Frの収量は、ほぼ必要な収量を達成できると見込んでいる。さらに、磁気光学トラップの光源の立ち上げを進め、高精度波長計を用いた周波数安定化の構築を進行中である。Srの冷却・トラップは、予定通り、進んでいる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K18762
ID情報
  • 課題番号 : 18K18762
  • 体系的課題番号 : JP18K18762