2018年4月 - 2020年3月
深層ネットワークを援用した表現型制約と表現型進化原理の探索と普遍構造の探求
日本学術振興会 科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型) 新学術領域研究(研究領域提案型)
本年度は深層強化学習の枠組みを利用して、T細胞を中心とした獲得免疫系の強化学習による定式化を行った。まず免疫系が行っている病原体への応答を強化学習として表現した。次に抗原提示細胞に提示される抗原パターン、T細胞クローン集団、自然免疫細胞集団の関係が作るネットワークに着目し、これをT細胞クローンの集団をパラメータとした方策の実装として捉えた。この実装がQ学習のQ関数と対応付けられることを明らかんした。また勾配法によりT細胞クローンを変化させた学習則を導出した。モデルの生物的意味から必然的に課される対称性を考慮することで、T細胞のクローン選択理論と類似の増殖率の変化による学習則が自動的に導かれた。
次に、シミュレーションによってこの学習則が実際に変化する病原体のパターンを学習可能であることを確認した。学習過程に依存して学習後のT細胞クローンの分布にはある程度のばらつきが見られたが、同一の性質を持つ分布に収束することが示唆された。この分布を、実際に実験的に得られているクローン分布と比較した。データに依存して極めて良い一致が見られるものと、学習のゆらぎでは説明できない大きな乖離があるものがあることがわかった。個々の個体が経験する病原体の種数が異なる場合のシミュレーションを行うことで、経験する病原体数の変化が大きく学習後のクローン分布を変化させうること、そしてそれが実験データを説明しうる1つの仮説になることを確認した。
次に、シミュレーションによってこの学習則が実際に変化する病原体のパターンを学習可能であることを確認した。学習過程に依存して学習後のT細胞クローンの分布にはある程度のばらつきが見られたが、同一の性質を持つ分布に収束することが示唆された。この分布を、実際に実験的に得られているクローン分布と比較した。データに依存して極めて良い一致が見られるものと、学習のゆらぎでは説明できない大きな乖離があるものがあることがわかった。個々の個体が経験する病原体の種数が異なる場合のシミュレーションを行うことで、経験する病原体数の変化が大きく学習後のクローン分布を変化させうること、そしてそれが実験データを説明しうる1つの仮説になることを確認した。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H04814
この研究課題の成果一覧
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論文
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Physical Review Research 3(1) 013222 2021年3月9日 査読有り最終著者責任著者
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生物物理学会 57(6) 287-290 2017年12月 査読有り招待有り
講演・口頭発表等
2-
iB Seminar:名古屋大学ハイブリッドセミナー 2021年12月2日 招待有り
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Computational Principles in Active Perception and Reinforcement Learning in the Brain 2020年2月14日 招待有り
メディア報道
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日経新聞・プレスリリース 2021年3月 インターネットメディア
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EurekAlert! 2021年3月 インターネットメディア