共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

ワイル磁性体における電気磁気応答の発現機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
19H00650
体系的課題番号
JP19H00650
配分額
(総額)
46,540,000円
(直接経費)
35,800,000円
(間接経費)
10,740,000円

カイラル反強磁性体Mn3X (X = Sn,Ge) におけるワイルフェルミオンの検証を多角的におこなった。本研究ではこれまで報告していたMn3X 系の巨大異常ホール効果および異常ネルンスト効果の結果に最新の研究結果を新たに加え、包括的なワイルフェルミオンの物理を確立した。特に、Mn3Geは0.3 K までカイラル磁気秩序状態を保つため、磁気揺らぎが抑えられた十分低温の領域においてワイルフェルミオンに由来する物理を研究することが可能である。Mn3Ge におけるカイラル異常やMn3Sn におけるプラナーホール効果等の磁気輸送特性の発見はこれらの物質中でワイルフェルミオンが存在することを示している。また、白金、タングステンを用いた2層の薄膜デバイスを作成し、電流印加によるスピン軌道トルクにより、ワイル半金属状態のスイッチングに成功した。
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次に、トポロジカル磁性体における巨大横熱電係数をFe3X(X = Ga, Al) 系において見出した。室温で過去最大値に匹敵する巨大異常ネルンスト効果を示し、また100 ℃の高温から-100 ℃の低温まで高い性能を維持する。さらに、厚さ数十ナノメートルのFe3Al,Fe3Ga の薄膜作製にも成功し、ゼロ磁場で世界最高の異常ネルンスト係数を示すことを示した。第一原理計算との比較から、本研究で発見された巨大な異常ネルンスト効果は、ノーダルウェブというトポロジカルなバンド構造に由来していることが明らかになった。異常ネルンスト効果の増強にはベリー曲率と状態密度を同時に大きくすることが重要であり、ノーダルウェブはまさにそのような条件を満たしている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H00650
ID情報
  • 課題番号 : 19H00650
  • 体系的課題番号 : JP19H00650