共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

資産価格バブルと金融規制: 繰り返しバブルと期待の役割

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H01490
体系的課題番号
JP20H01490
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

陣内は、研究プロジェクト全体の核となる理論モデルの精緻化をさらに進めた。将来のバブル発生が生むクラウドアウト効果を分かりやすく示すために、非常にシンプルな特殊ケースを考え、その経済モデルにおける経済の資源配分や価格を解析的に求めることに成功した。そこで得られた結果はモデルのパラメータの決め方に依存しないので、主要な結果が頑健であることを説得的に主張できるようになった。金融市場に摩擦がある環境での資産価格の決まり方についてまとめた論文は国際的に評価の高い学術雑誌に刊行された。
高橋と高山は、不動産の価格の変動を分析するために投資財デフレーターの中の建設デフレーターの分析に取り組んだ。デフレーターの変動を産業レベル、地域レベルで分析したが、頑健な結果を見つけるまでには至らなかった。研究を深化させるためには背後にあるマイクロデータを用いた詳細な分析をする必要がある。そこで、マイクロデータが手に入る投資財産業の分析に着手した。パーソナルコンピュータを含む装備品投資財価格の下落は日本の成長の源泉であったが、バブル崩壊以降はその勢いが弱まってしまった。BCN株式会社からパソコンの売上情報と販売されたパソコンの性質に関する詳細なミクロデータを購入し、分析を開始した。
宇南山は、平成バブル期の資産変動がもたらした所得・資産分布への影響のうち、家計部門内での分配までを把握した。土地保有に関するサーベイ調査を観察した結果、平成バブル期以前に東京の都心・副都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)に土地を所有していた者が最も大きなキャピタルゲインを受けていたことが明らかになった。こうしたキャピタルゲインの偏りがその後の家計間での格差の拡大に与えた影響を分析するのが今後の課題である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H01490
ID情報
  • 課題番号 : 20H01490
  • 体系的課題番号 : JP20H01490