共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年 - 2012年

近代解釈学の成立史―シュライアマハーを中心に方法概念の歴史的系譜から

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
10J05601
体系的課題番号
JP10J05601
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
600,000円
(直接経費)
600,000円

1、シュライアマハー解釈学の前史の研究。かかる前史を、宗教改革以降の一般解釈学およびプロテスタント聖書解釈学における意味ならびに解釈学の方法的二分法に即して検討した。(1)解釈学を樹立したダンハウアーがテクストの意味を「文字の意味」と「字義的意味」に分類したことを承け、以降の解釈学においてはこの二分法に基づく解釈の方法的二分法が採られる。(2)18世紀中葉、当時の聖書の歴史研究の進展を承け、「字義的意味」を求める方法が、著者に関わる歴史的状況に基づく「歴史的解釈」の方法として整備される。(3)かかる解釈学における二分法を、シュライアマハーは「文法的解釈」と「技術的・心理的解釈」という独自の二分法に改変する。彼の独自性は、それぞれの契機を、言語と意図の二元論に基づけた点、さらには後者を生成論的な再構成の方法として整備した点にある。
2、シュライアマハーの聖書解釈学の研究。シュライアマハーの聖書解釈学は、一般解釈学を聖書解釈に特殊化することによって構成される。彼の独自性は、聖書の神学的な要素を一般解釈学の論理の下で捉え返した点にある。具体的には、(1)「霊感」を、キリストの言行を記録する際の使徒達の忠実性を求める意志として、(2)「信仰の類比」を、世俗の書物と同様な平行個所比較の方法の下で捉え返す。
3、解釈学と論理学の関係性に関する研究。(1)解釈学を樹立したダンハウアーは解釈学を論理学の一部として構想した。(2)18世紀前半の啓蒙主義の解釈学においては、解釈学が論理学の方法の応用として構想される。(3)シュライアマハーはそれを批判し、解釈学を論理学から切り離すことを要請する。ただし彼は同時に論理学をあらたに彼独自の弁証法として再構成した上で、解釈学と弁証法とを補完関係に置くことを求める。
4、以上の研究を各章として、従来の研究と共に、博士論文として総括し、平成25年3月7日に博士学位申請論文として東京大学に提出し、現在審査中である。なお、以上の研究は、フンボルト大学ベルリンにおける研究を含む(平成24年7月22日から同年12月15日まで)。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J05601
ID情報
  • 課題番号 : 10J05601
  • 体系的課題番号 : JP10J05601