共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

脊髄の損傷範囲が手指の運動機能回復に及ぼす影響

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K17717
体系的課題番号
JP18K17717
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究では、サルの脊髄損傷モデルを用いることで、脊髄の損傷部位の大きさが手指の器用な運動機能の回復過程にどのような影響を及ぼし、それによって機能回復の神経基盤に違いがあるのかどうかを明らかにすることを目的とする。
初年度では、1頭のマカクザルで巧緻運動課題をできるようにトレーニングを行った。手指の筋肉の活動を記録するために、筋電図電極を12個の筋肉に埋め込んだ。また、慢性的に複数の脳領域から脳活動を記録するために皮質脳波電極を埋め込んだ。脊髄を損傷させる前に、巧緻運動中の脳活動・筋活動・手指の動きを記録した。
先行研究では外側皮質脊髄路のみを損傷させたモデルを用いて回復過程を調べた。その結果、手指の巧緻性は約3か月後には回復した。本実験では第4頚髄と第5頚髄間の境界部において、外側皮質脊髄路が下行する側索の範囲を超え、前索の一部まで損傷したモデル動物を作成した。
脊髄損傷後、サルは毎日リハビリテーションを行い、回復過程と脳活動・筋活動を5か月間に渡って記録した。損傷から約1か月後、到達把持運動ができるようになり、徐々に手指が動くようなった。しかし、5か月経過しても巧緻性は完全に回復することなく、本研究のような大きな損傷モデルでは、巧緻性が完全に回復しないことが明らかになった。脳活動においては、損傷と反対側の一次運動野の高ガンマ帯域の活動と損傷と同側の運動前野のベータ帯域の活動が、損傷前と比べて有意に大きくなることが明らかになった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K17717
ID情報
  • 課題番号 : 18K17717
  • 体系的課題番号 : JP18K17717