共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

プロテオーム解析による胆汁酸動態制御機構の変化からみた減量手術の糖尿病改善効果

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K10575
体系的課題番号
JP17K10575
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

平成30年度は胆汁酸の輸送タンパクや代謝関連酵素発現変化、消化管ホルモンやその他のメディエーターの発現を測定する予定であった。しかし膜タンパクの解析に難渋し、別の視点からタンパク質の発現状態に関する検討を行った。
DJB術後の代謝改善機序について肝組織のプロテオーム解析にて検討を行った。1372のタンパク質が同定され、発現比率>1.5x・<0.5x、変動係数<30%、有意差あり(p<0.05)でタンパク質を21個に絞り込んだ。この中で、DJB群で発現が亢進していたCarboxylesterase 1d(Ces1d)に着目した。Carboxylesteraseは主に肝や小腸などに発現し、中性脂肪を加水分解するエステラーゼであるが、胆汁酸がtargetとする核内受容体FXRの直接のターゲット遺伝子であることが報告されている。Ces1は主に肝に発現し、中性脂肪を分解し遊離脂肪酸を増やすことで、PPARαの活性を亢進させ、インスリン感受性を改善することが報告されており、Ces1dの亢進がDJB術後の代謝改善に寄与している可能性が示唆された。
膜タンパク特に胆汁酸のトランスポーターに関しては、DJB術後の腸管内の胆汁酸を質量分析装置で解析したところ、Y脚合流部以遠への胆汁酸流出が少なく、BP-limb内で胆汁酸の多くが再吸収されている可能性が示唆された。BP-limb内での胆汁酸吸収経路を明らかにするため、標識胆汁酸と胆汁酸トランスポーター(ASBT及びOATP)阻害薬を用いて、BP-limbにおける胆汁酸吸収能を評価した。その結果、OATP阻害薬で有意に標識胆汁酸吸収が抑制され、ASBT阻害薬で吸収が抑制される傾向が認められた。このことから、BP-limbにおいて胆汁酸はトランスポーターを介して吸収されており、ASBTだけでなくOATPが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K10575
ID情報
  • 課題番号 : 17K10575
  • 体系的課題番号 : JP17K10575