共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2022年3月

アルカリ浴を用いた亜鉛の低電力電解採取に関する基礎的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究
  • 岸本 章宏

課題番号
19K15333
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

亜鉛の製錬・リサイクルプロセスの効率化のため、当該研究ではアルカリ性水溶液を用いた亜鉛の湿式プロセスに関する研究を進めている。従来の硫酸酸性水溶液からの亜鉛の電解採取では亜鉛が層状かつ緻密に析出するが、アルカリ性水溶液からは多孔質またはデンドライト状の亜鉛が析出することが知られている。多孔質な析出物では電解後の洗浄が煩雑となり、溶液の随伴による薬剤コストの増加も懸念される。このような金属の電析形態の差異は学術的にも大変興味深いが、その要因についてはよく分かっていない。そこで、本年度は光学顕微鏡を用いた亜鉛の電解析出のその場観察に着手した。
実験では共焦点レーザー顕微鏡またはデジタルマイクロスコープを使用し、電解セル中で進行する亜鉛析出の様子を直接観察した。電解セルは石英製カバーガラス、ポリカーボネート製の基板とカバー、EPDM製ゴム板を組み合わせて作製されており、幅15mm×長さ65mm×高さ1mmの流路に電解液を一定速度で流した。作用極には直径1mmの多結晶亜鉛線を、参照極には銀-塩化銀電極を、対極には亜鉛棒を使用し、電解液には酸化亜鉛を溶解させた硫酸酸性水溶液または水酸化ナトリウム水溶液を使用した。なお、このセットアップについては電流密度分布シュミレーションを行い、作用極上ではほぼ均一に電流が流れることを確認した。
多結晶亜鉛を作用極に用いた電解試験では、硫酸酸性ならびにアルカリ性水溶液のいずれの場合でもinstantanious型の核生成が確認された。その後、硫酸酸性水溶液ではすべての核が水平方向へほぼ等方的に成長し、その析出物は緻密かつ層状であった。しかし、アルカリ性水溶液では析出した亜鉛の核には成長するものとしないものがあり、水平方向ではある特定の向きに優先的に成長した。このような亜鉛の成長の仕方の違いが、両電解浴での亜鉛の析出形態に関与していると考えられる。

ID情報
  • 課題番号 : 19K15333