共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

新規ネコ白血病ウイルスの病原性解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K05973
体系的課題番号
JP18K05973
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

ネコ白血病ウイルス(FeLV)は家猫に水平伝播し、リンパ腫、急性骨髄性白血病等の予後不良な疾患をもたらす。ワクチンは存在するが未だ制圧には至っておらず、FeLVに関するより幅広く詳細な解析が望まれる。FeLVはウイルス粒子の外皮蛋白(Env)と感染に用いる受容体の違いによりサブグループ分類されるが、各サブグループの病原性には違いがあるとの報告がある。受容体の違いは感染標的の拡大と感染による細胞の生理機能への影響の変化をもたらし、結果として病原性の違いを生み出すと考えられる。我々はこれまでに、既知のFeLVサブグループには属さない新規のFeLV(FeLV TG35-2)を同定した。更に、その受容体としてReduced folate carrier(RFC)を同定した。本研究では、この新規のFeLVの“病原性”及び“自然界での出現率”を明らかにすることを目的としている。当該年度は、前者のためin vitroにおける当ウイルスの詳細な性状解析、及び後者のため疫学調査を開始した。
成果としては、まずFeLV TG35-2とRFCの直接的な結合、RFCを受容体とする感染におけるEnvの責任領域を明らかにした。これらの結果は、今後のより詳細なFeLV TG35-2侵入過程の解析に結びつくと思われる。また、FeLV TG35-2は血球系細胞株における増殖性がFeLV-A(家猫で水平伝播するサブグループ)よりも高いことを明らかにした。ウイルスの増殖能と病原性は一般的によく関連することから、当結果はFeLV TG35-2の病原性を推定する一材料となった。更に、日本のFeLV陽性ネコ検体を用いたウイルス分離と、分離ウイルスを用いた干渉実験によるサブグループ決定を行った。検体数はまだ少なくFeLV TG35-2も検出されていないが、今後の疫学調査の手法が確立された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K05973
ID情報
  • 課題番号 : 18K05973
  • 体系的課題番号 : JP18K05973