共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2025年3月

中枢神経バリアー構成細胞の特性を利用した難治性中枢神経疾患の新規治療法開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
20H00529
体系的課題番号
JP20H00529
配分額
(総額)
44,590,000円
(直接経費)
34,300,000円
(間接経費)
10,290,000円

相互細胞接着型ヒト血液脳関門三次元モデルを用い、血管内皮細胞バリアーを通過して血液脳関門構成アストロサイト、ペリサイトに作用して有用物質を放出させる低分子化合物のスクリーニングを初年度から継続して施行した。この結果、2種類の低分子・脂溶性物質(EP4アゴニスト、S1P5アゴニスト)を三次元モデルの血管内皮細胞側に作用させることで、この相互細胞接着型ヒト血液脳関門三次元モデルのアストロサイトから神経栄養因子BDNFが放出されることが明らかになった。この結果は国際雑誌に掲載された(Fujisawa M et al. J Neuroimmunol 2022)。血液脳関門の向こう側(脳側)に存在する細胞を血管側から操作し、有用な物質を脳内に放出させるという全く新しい発想の仕事の第一歩が結実した。一方、当初予想していた血液脳関門構成ペリサイトからのBDNF放出に関しては、有意な上昇を惹起する物質は同定できなかった。スクリーニングに用いた低分子化合物の範囲内では、ペリサイトよりアストロサイトがより強力な神経栄養因子産生細胞であることが示された。しかし、ペリサイトはBBB構成細胞として極めて強い生物学的活性を有する存在であり、ペリサイトに対するアストロサイトの優越性に関しては、検索対象となる低分子化合物の増加や測定する神経栄養因子の複数化などを通じて、さらなる検討が必要であるという次年度以降の課題が残された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H00529
ID情報
  • 課題番号 : 20H00529
  • 体系的課題番号 : JP20H00529