2017年
低温大気圧プラズマ照射により生成される活性酸素種の定量評価
東北大学歯学雑誌
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- 巻
- 35/36
- 号
- 2/1
- 開始ページ
- 61
- 終了ページ
- 69
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 東北大学歯学会
近年、室温付近の低温のプラズマを大気圧下で生成する新技術が開発され、生体組織への照射も可能となったことから、医療分野を中心として、その応用範囲がさらに広まっている。しかしながら、生成される活性酸素種の同定や定量評価については、充分に明らかにされていないのが現状である。一方、口腔疾患として代表的な歯周病やう蝕は、両者とも感染性の疾患であり、治療において口腔内での局所の感染コントロールが重要とされているが、従来技術では完全な感染コントロールが難しかった。そのため、局所における適切な感染コントロールを可能とする新しい医療技術の開発が望まれていた。そこで、本研究では、低温大気圧プラズマの歯科領域における臨床応用の可能性を検討することを目的として、低温大気圧プラズマ照射により生成される活性酸素(ROS:reactive oxygen species)の種類を同定し、定量評価を行った。結果として、3種のROS(過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(・OH)、一重項酸素(1O2))の生成が明らかとなり、生成量は、印加電圧依存的および照射時間依存的に増加することが確認された。活性酸素種は、殺菌や抗菌作用を有することが知られており、今後、低温大気圧プラズマを、口腔内における局所の感染コントロール等へ有効に活用することにより、歯科臨床への応用が期待できる。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0287-3915
- 医中誌Web ID : S522340009
- J-Global ID : 201802229101422482